売れる料理の撮り方、見せ方#1 備えなければ、シズルなし。あなたの料理写真が、美味しく見えないワケ

 「おいしそう!」とカメラを向けるも、撮れた料理はどこかいまいち…。あなたに足りないのは、シズル表現かもしれません。
この連載は、hue(ヒュー)の近藤泰夫が、シズル(そそる)写真の撮影法を伝授する連載記事です。

■パッケージからCMまで。年間1200件もの「食」を撮影。

 hueには私を含めて14名のフォトグラファーが在籍、それぞれが個性的な写真や動画を撮っています。ただ全員に一つ共通点があるんです。それは私たちが撮るビジュアルがすべて「食」に関連したものである、ということ。
CMのシズルシーン。キッチン用品のキービジュアル。カップ麺のパッケージ――。hueは年間1200件に及ぶ撮影を手がけていますが、そのすべてが「食」に関するビジュアルなのです。だから街中やテレビ、コンビニなどで、みなさんも必ず私たちの撮ったおいしそうな「食」のビジュアルを目にしているはずです。

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■シズルとは、単に「おいしそう」ではない。

 そんな私たちが最も意識しているのが『シズル(Sizzle)表現』です。本来「じゅうじゅうと肉の焼ける音」を表す英語ですが、私たちはこれを「五感を刺激する“そそる表現”」と捉えています。
では、そんなシズル感のある写真を撮るには、すぐにカメラを構えてはいけません。その前に大事なことがあります。
それは、撮る写真の“狙い”をしっかりと定めることです。

■見た人が「どんな気持ちになって欲しいか」を考えよう。

 “狙い”とは何か。それは「その写真を見た人が、どのような気持ちになるか」を想像することです。
例えば、下のいちごタルトを見てください。これは狙いを定めず、単に綺麗に撮った写真です。

180128_adobe2968.jpg©Copyright2018 hyemi cho/hueinc.All Rights Reserved

 決して悪い写真ではありませんが、あまりにふつう。心動かされる…とまではいきませんね。
「見た人にどういう思いを抱いて欲しいか」というプランなしに、「ただ、いちごタルトを撮る」と、こうなります。ある程度の撮影テクニックもあり、優れた機材を揃えていても、明確な狙いなき写真は、人の心を動かしません。

 一方で、撮影前に “狙い”を定めて写真を撮った例をいくつかご紹介します。まず最初は、「高級感や素材へのこだわりまでも感じもらいたい」という狙いで、同じタルトを撮り直したものです。

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 「高級感を感じさせる」というゴールが明確になると、ライティングやスタイリングも明確になります。コントラストを強めにし、暗部を強めにしたほうがリッチな印象になる等、狙いに即した“手段“が次々と浮かんできます。この積み上げから「高級感があって美味しそう!」「イチゴが食べたい」というシズル表現を具現化できるようになるわけです。

 次は、別の“狙い”で撮った写真です。

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 こちらが目指したのは「リラックスしたほっとする時間を感じてもらう」こと。その“狙い”からブレイクダウンして、窓辺から柔らかな光や風が入っているような空間を再現し、色味も光りも淡くしました。ライフスタイル系の媒体にフィットしそうな写真です。

 次は2枚を比較してもらいましょう。

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 上の写真は「女性が好むかわいい雰囲気」を狙って撮ったもの。下は「男性的でリアルな日常」を狙って撮ったものです。世界感がまったく違って見えますよね。

 最後に今回撮影したいちごタルトの写真をすべて並べます。

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 繰り返しになりますが、すべて同じいちごタルトです。しかし、10枚がそれぞれ違う表情で「おいしさ」を伝えていると感じてもらえるのではないでしょうか。ひとえにそれは、撮影前の狙いやテーマがしっかりと設定されたうえで撮っているからです。

 ■まず、試してみよう。

  被写体は、ぜひあなたの「好きな食べ物」を選んで撮影してください。甘いものが苦手な人が、スイーツのおいしい表現を考えるのは辛いし思い浮かばないですよね。
そのうえで、「上質な生活を提案するライフスタイル誌を読むような女性に響いて欲しい」という“狙い”で一枚。そして「高級感を感じさせ、食材を美しく」という別の“狙い”でまた一枚撮ってみましょう。
あなたなら、どんなライティング、どんな空間やスタイリングで撮影にしますか。

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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