広報や宣伝担当者に知ってほしい、本当に「おいしい写真」の作り方

ここ数年、facebookやinstagramで食べ物の写真をよく見かけるようになりましたよね。
でも、そんな食べ物の写真の中でも、「おいしそう」と思う写真と、あまり「おいしそうだと感じない」写真とがあるのではないでしょうか。食べ物や飲み物の写真において、「おいしそう」と思えることは最も重要なポイントです。

アメリカの心理学者ルイス・チェスキンの研究によると、「消費者はパッケージに対して抱いた感覚や印象を商品そのものの価値に転移させてしまう」、「感覚転移」という現象が確認できたと発表しています。
「パッケージの写真がおいしそうで思わず買ってしまった」といった経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか?

では、そんな「おいしそうな写真」はどのようにして撮れば良いのでしょうか? また、どのような写真なら「おいしそう」と思われるのでしょうか。今回は、hueが普段どのように「おいしい写真」を撮影しているか、その考え方を紹介します。
ぜひ、「おいしい写真」を見るときの判断材料のひとつにして下さい。

「おいしい」は五感で感じるもの

「シズル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 元々は英語の「sizzle」という単語から派生したと言われています。「肉がジュージューと焼けている様子」を表す「sizzle」という英語が、五感を刺激するような、臨場感のある写真や映像を表現するときに使われる「シズル感」という言葉となったのです。
「おいしい写真」とはシズル感のある写真のことであると言われますが、hueではより分かりやすく、「食欲をそそる、そそられる」写真のことだと思っています。
その為には、五感全てに響かせることが重要であると考えています。

「おいしさ」を感じるのは「味覚」だけだと思われるでしょうが、「食べる」という行為は、五感全てを使った行為だと考えられます。
口に入れた時の味覚はもちろんのこと、蓋をあけた時に漂う香りや湯気(嗅覚)、ちぎったりすくったりする時に伝わる質感(触覚)、ジューっと焼ける音(聴覚)、料理の色合いや食器・クロスなどのテーブルコーディネート(視覚)など、そのどれもが重要で、食欲をそそる一端を担っています。

写真では「視覚」でしか伝えられません。見た人においしさが「伝わる」ためには、その視覚のなかに他の4つの感覚をどう閉じ込めるか、ということが大事です。

料理ごとに違う「おいしい写真」のポイント

写真からおいしさを感じられるかを見分けるためには、料理ごとの表現方法を知っておくことが重要です。
そこで、【温かい食べ物】【冷たい食べ物】【お菓子】の3つの食の写真と表現方法を紹介します。それぞれのポイントを知ることで、「おいしい写真」の撮り方や見方のヒントにしてください。

温かい食べ物は「ゆげ」や「空気感」がポイント

湯気で温度を表現するというのが最も一般的な表現方法です。その他、器を持つ手や姿勢(手を温めるような、少し猫背になるような)や、写る人のセーターを厚いものにするなど、周りの空気感も一緒に表現することで、より料理の温かさを「伝わる」表現にすることができます。

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冷たい食べ物は「水滴」や「明るさ」がポイント

食器のまわりにつく水滴の大きさでも細かい温度表現ができます。例えば、コップに注がれたビールであれば、水滴が大きければ少し時間がたってぬるい感じが伝わり、小さく細かい水滴がいっぱいのグラスになれば、より冷えたイメージにすることができます。

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温度の表現は、光の種類、色温度でも変わってきます。細部での表現はもちろんのこと、サラダはクールな印象に、グラタンは温かい印象になど、全体のトーンを見て調整することも大切になります。

お菓子は「質感」がポイント

お菓子のポイントは「食感」です。食感で感じる味がポイントとなるお菓子は、質感の表現が大切。焼き色や、スプーン等ですくった断面のザラザラ感、クリームのなめらかさを表現することで、見る人に食感をイメージさせることができます。

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もちろん、上記だけが表現方法の全てではありません。どの料理にもいえることですが、大切なのは見た人がその状況をリアルにイメージできるかどうかです。
普段何気なく過ごしている中でも、「おいしい」にはそれぞれ細かい状況の記憶があったりします。私たちフォトグラファーは、「おいしかった記憶を呼び戻してあげる作業」のお手伝いをしているんです。そのためには、日ごろの観察が大事になってきます。

hueならではの「おいしい写真」の表現について

食の撮影の多くは、食品パッケージに起用される写真と、その他広告ビジュアルとして起用される写真の大きく2つに分けられます。hueのフォトグラファーは写真が使用される目的に応じて、撮り方を変えています。

パッケージ写真は、消費者が店頭で目にする数秒間のアイキャッチが求められます。そのため、インパクトがあって瞬間で消費者を捕まえられるビジュアルでありながらも、商品の情報(内容量や具材など)を正確に伝えなくてはなりません。

一方、広告ビジュアルの写真では、とにかく「おいしい表現」を追求していくことが求められます。商品がもつ「イメージ」を強く消費者にアピールしていかなくてはならないため、料理や飲み物が一番おいしく見える表現をするための様々な演出ができなければなりません。

「おいしい写真」を撮るための5つのポイント

おいしさが感じられる、「伝わる」写真を撮るためには、いくつかのテクニックがあり、特に次の5つを意識しています。

1. 立体感

それぞれの食材が引き立つような盛り付けや影の付け具合を。たとえば、野菜の新鮮さを表現したい時など、立体感がなくなってしまうと、大切な「食感」が感じられなくなってしまうのです。

2. つや

ハイライトが美味しさを引き立てます。食材からつやが感じられないと、「しなびた」ような印象になってしまいます。

3. 彩り

食材の色のバランスも重要です。色鮮やかな料理であっても、配色が適切でないと、その鮮やかな印象が感じられません。盛り付けた後、撮影している間も、食材を移動させるなどして配色のバランスには気をつかいます。

4. ライブ感

料理は生き物! おいしく食べられる時がおいしく撮影できるタイミングです。料理ごとに「おいしく感じられる瞬間」は違います。ピザのチーズがトロリとのびていたり、アツアツのラーメンを箸ですくい上げていたり、それぞれの料理に合わせてその瞬間を捉えることで、写真から「おいしさ」を逃しません。

5. 知識・情報量

すべての表現力の源は豊富な知識と多くの情報量が重要です。写真を撮るスキルだけでなく、食に関する知識も有したフォトグラファーだからこそ、消費者に「伝わる」写真を撮ることができるのです。

hueの最大の強みとしては、最後にある「知識・情報量」なのではないかと思います。

まず、個人ではなく組織として活動していることで、より多くのノウハウやスキルを蓄積することができます。

さらにhueでは、3000冊を超える「食」をテーマにした本を所有するライブラリーや、数多くの食器を保管する食器庫も保有しています。6面からなるキッチンスタジオとそれらの環境を合わせてhue plus(ヒュープラス)と呼んでいます。
このhue plusという環境は、ただのスタジオというよりはフォトグラファーの「ノウハウ」や本などの「情報」、食感度の高い「人」たちなど、「食にまつわるあらゆるものが集う」をテーマにした場所づくりを意識して作られています。

このように、スキルやノウハウ、情報などを「共有できる」ということが最大の強みだと言えるでしょう。そういった環境のなかで生み出される写真だからこそ、専門店ならではの強みが発揮できるのではないかと思います。

 

hueでは、いままで培ってきた知識やノウハウに加え、hue plusという環境によって、料理のおいしさが「伝わるビジュアル」を作り出すことができます。「日本人は料理を目で味わう」とも言われます。それは、日本料理を作る料理人が、見た目の美しさにも徹底的にこだわったために、日本人の料理を見る目が養われた結果とも言えるでしょう。料理のおいしさを伝えるためには、「作って撮る」ということだけでは足りません。料理のことを知り尽くしたフォトグラファーがいるからこそ、hueでは消費者に「伝わる表現」を演出し、イメージ通りの写真を仕上げることができるのです。

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