北の大地に“写真の町”あり!『おいしい写真教室』イベントレポート

今回のイベントレポートは、料理のコーディネートと、料理の写真が学べる『おいしい写真教室』です。開催場所は北海道上川郡東川町。豊かな自然に囲まれたこの町は、“写真の町”として写真愛好家の間ではちょっと有名な場所です。

講師は、フードコーディネーターとして商品パッケージ写真のスタイリングやメニュー開発を手掛ける福原知香さんと、Sizzleディレクター/フォトグラファーの大手仁志。楽しくおいしい講座の様子を、東川町の魅力とあわせてご紹介します。

おいしい!撮りたい!があふれる東川町

北海道上川郡東川町。北海道の中央部、大雪山連峰の旭岳の麓に位置するこの町は、豊かな自然と景観に恵まれています。
町に暮らす人々の生活水は、この大雪山の伏流水。そのため東川町には上水道はなく、水道料金はかかりません。
豊富で良質な水は、お米や野菜、豆腐や味噌など様々な名産品を生み出しています。
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 ▲大雪山旭岳のふもとに広がる東川町

また、移住・定住にも力を入れているのも特徴です。豊かな資源と自治体の積極的な受け入れ態勢に惹かれて、全国から移住希望者が集まってきています。さらに全国初の町立の日本語学校を有し、海外からの移住者も多いそうです。

そしてこの町のもう一つの特徴的な取り組みは、1985年の“写真の町”宣言です。
写真文化による町づくりに力を入れ、『写真甲子園』や『東川町国際写真フェスティバル』といった全国的な写真の大会を実施しています。
東川町には雄大な自然を目指して多くの写真愛好家たちが訪れていますが、町の景観についても魅力的な写真が撮れるような町づくりをしようと、町民一体となって取り組んでいます。

実際に町を歩いてみると、店先にはオリジナリティあふれる木彫りの看板が掲げられ、思わず写真を撮りたくなるようなスポットが満載です。
さらに店内に一歩入ると、そこはまるで都内のおしゃれな店の雰囲気!
店のオーナーには、Uターン者や移住してきた30~40代の方も多いそうです。
レストランでは地元の食材が和食だけはなく、イタリアンやフレンチとなり、ワインが進むような料理が供されます。
またかわいらしい店構えのパティスリーには、東川町の水や米粉を使った地元ならではのお菓子が並び、さらにパッケージデザインにもこだわっているので、旅のお土産選びも楽しめます。
多くの地方で人口減少や少子高齢化が問題となっている中、着実に人口が増え続けているこの町は、前向きで明るい雰囲気に満ちています。

視覚に訴えるおいしさの秘密に迫ります

こうした他に類を見ない町で、『おいしい写真教室』は開催されました。
講座の内容は、料理の盛り付けやテーブルコーディネートと、写真映えするスマホでの撮り方のテクニックです。
講師は、フードコーディネーターとして商品パッケージ写真のスタイリングやメニュー開発を手掛ける福原知香さんと、シズルディレクターでフォトグラファーのhue大手仁志です。
参加者は、東川町の40代の女性が中心。中には町外からの参加者や、親子連れの方もいらっしゃいました。

まずは大手による写真講座からスタート。
家族や親しい友人など限られた人たちの間でしか見られなかったような写真も、スマホやSNSの浸透により多くの仲間や世界中の人と共有されるものに変化しています。
中でも世代を超えて多くの方に撮られているのが料理写真です。
こうした現状を受け、せっかく撮るなら“伝わる写真”を撮って、みんなと共有しようと大手は語ります。
写真を撮る機会は増えたけれど、なんとなく自己流でやっている人も多いはず。アングルや光の話など、基本をおさえて撮影すると、写真はとたんに輝きを増します。おうちで、カフェで、居酒屋で、誰でもすぐに実践できるコツを聞き、参加者からは歓声が上がります。
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続いて福原さんによる、料理の盛り付けとテーブルコーディネートの講座です。おいしさを感じる際、味覚と同様に重要なのが視覚です。そこで彩りに気をつけたり、料理の正面を意識したり、余白を大事にすることで、料理の見え方が変わってくることを実践を交えて伝えます。
写真講座と同じく基本をおさえることで、料理はぐっとおいしそうに!目の前で繰り広げられるビフォー・アフターのデモンストレーションに、参加者は興味津々の様子です。
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学んだことは早速実習の場で活かします。
今回のメニューは、ケーキ風サンドウィッチ、かぼちゃのポタージュ、人参のラペ。
メインとなるサンドウィッチの組み立てを行い、自分で選んだお皿の上にサラダやスープとともに盛り付け、クロスや天板と組み合わせて、写真映えを意識したコーディネートを行います。
福原さんから聞いたポイントをもれなく取り込もうと、参加者の皆さんはお皿選びから真剣です。
仕上げの飾り用には色とりどりのスパイスやハーブ、エディブルフラワーが用意され、自分好みの演出を加えることができます。

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続々とおしゃれなワンプレートが完成しました。サンドウィッチ、スープ、サラダという構成要素は同じでも、お皿のキャンバスに描かれた絵は全く異なります。

すぐに食べたい気持ちを抑えて、撮影タイムです。
参加者は窓辺に並び、料理をおいしく見せる自然光のもとで撮影します。
さらに窓の外には真っ白な雪が積もり、反射された光は料理に立体感を与えます。

大手は参加者一人一人を回り、声をかけます。

「お皿の正面をずらしてみて」

「少し寄って撮影してみましょうか」

「構図を変えると、また印象が変わりますよ」

アドバイスを受けて撮り直してみると、写真は見違えるように変わります!上達を実感した参加者は撮影がどんどん楽しくなっていき、後ろ姿からもその喜びが伝わってきます。
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 ▲東川町の自然光による撮影タイム。それぞれの個性が光る作品が並びます。

プロの技を活かして、おいしい体験も町の魅力も発信!

撮った写真の中から渾身の一枚を選びます。試食タイムでは、データで回収された写真がスクリーンに映し出され、大手による講評が行われます。
まずは温め直されたスープでほっと一息。見た目だけはない、おいしい料理を前にして、参加者の会話は弾みます。

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スクリーンに参加者の写真が一枚ずつ映し出されます。
自分の撮った写真が大きくスクリーンに映し出され、プロから講評を得られる機会はなかなかないもの。
料理の盛り付けも、撮影もこだわった一枚は、とても素人の方の作品とは思えません。お皿やスタイリングの違いだけではなく、盛り付け方によっても微妙に陰影のバランスが変わり、そうした細部の集まりによって全体にもたらされる印象ががらりと変わることを実感することができます。日々たくさんの写真を目にする機会が増えた今、はっと目に留まる、印象に残る写真は、偶然の産物ではなく、その背景にはこうしたこだわりがあります。

参加者の方に今回のイベントの感想をうかがいました。

mikiさん(40代女性)
今回のイベントは、道の駅のちらしで知りました。自分で料理を作って写真に撮ることは好きなのですが、なかなか思うように撮れなくて…。
コーディネートの話では、料理のおいしさと視覚の話が印象に残っています。これからはもっと盛り付けに力を入れようと思います。
写真の話では、スマホでの撮影の仕方やちょっとしたプロの技が満載で、家に帰ったらすぐに実践したいです!

norieさん(60代女性)
新聞の広告を見て、参加しました。
うちは食品加工会社をやっているのですが、商品提案としてうちの食品を使った料理写真をポスターに載せたいなと考えていました。今回のイベントはまさにやりたかったことだったので、すぐに申し込みました。
参加してみた感想は、同じものを撮っても、写真を見るとそれぞれ個性があらわれていて、とっても面白かったです。

共通する感想は、「楽しかった!」という声。

大手は写真の上達ポイントについて語ります。

「伝わる写真を撮るためには、撮影する人が楽しむことが一番です。
楽しいということは、また撮りたいという気持ちにつながります。
良い写真を撮るためには、とにかくたくさんの写真を撮ることがポイントです。
今日の経験をきっかけに、たくさん写真を撮って、どんどんアップしてくださいね!」

数年前に東川町に移住してきたある参加者の方が、この町を移住先に決めたポイントについて、「様々な役所の方とお話しした中で、東川町の方のお話に一番未来を感じられたから」と話してくださいました。
町が一体となって進化する東川町。“伝わる写真”を学んだ人たちに、今後も楽しみなこの町を発信し続けてほしいです。
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プロフィール:
福原 知香 Tomoka Fukuhara
フードコーディネーター/栄養士
栄養士免許を取得後、食品会社、料理教室に勤務し、その後フリーに転身。
現在、CMや商品パッケージ、レシピ動画など広告関係の料理製作をはじめ、スタイリング、レシピ開発、テレビ出演、イベント講師など幅広く活動中。

大手 仁志 Hitoshi Ote
フォトグラファー、シズルディレクター、「食」の撮影を専門とするスタジオhue代表取締役。1965年栃木県生まれ、1985年株式会社アーバンパブリシティ(現・株式会社アマナ)に入社。その後30年間に渡り「食」に関する広告写真の撮影に携わる。食材や料理がもつ生命力を切り取り表現することが食のフォトグラファーの使命と考え、数多くの広告賞を受賞。最も好きな食べ物は餃子。

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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