【海外にも伝わる“おいしい”表現】 日本のシズル表現を海外で伝えるには

オリンピックも控え、世界中からの視線が集まる日本。とりわけ日本の食に関する注目は年々高まってきていると言えます。食の撮影を専門とするhueでは、海外マーケットにむけて独自の視点で切り取ったグローバルサイトを立ち上げました。今回の記事では、海外アプローチのポイントや、海外へ自社商品を展開する際のヒント、リリースから約1年どのような反響があったのかなどhueグローバルプロジェクトのメンバーに話を聞きました。

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“デリシャス”ではない、“シズル”という表現。


“シズル”という言葉は、日本では「五感を刺激するおいしさの表現」として使われています。食のビジュアルを専門とするhueでも“そそる表現”=“シズル表現”としてビジュアル制作の現場でも頻繁に登場する言葉です。

基は、英語で肉が焼ける「ジュージュー」という音が語源になったようですが、現在、海外においては日本で使われるような「シズル」の意味とは少しニュアンスが違うようです。例えば「デリシャス」という言葉もありますが、日本で使われる「シズル」をそのまま体現する言葉ではありません。

シズルが日本独自の表現であるならば、この言葉を海外にむけて伝える意義があるのではと考え、hueでは2016年より食のビジュアル表現を海外にむけて発信するグローバルサイトを立ち上げました。

海外の方に日本のシズル表現をアプローチしたいという、hueの想いを形にするため、
既存サイトの言語を英語に切り替えるだけでなく、完全に日本のサイトとは違った切り口になっています。

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食文化が大きく違う海外において、日本のシズル表現の特徴をどう伝えるのか。海外に行ったときに、見かける食の広告写真やパッケージのビジュアルはどこか違和感があるし、どこか不自然。「日本のシズル表現がもっと世界で通用したら面白いのではないか」と話しあってきました。
hueでは食専門のフォトグラファーやプロデューサーが集まり、海外ロケ撮影などで体験した撮影現場や、海外でまわったエージェントからの話などをまとめ、海外から求められる表現はなにかを議論を重ねていきました。

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フォトグラファー・近藤泰夫
「食関連で、海外にむけてアプローチする際には、商品の魅力や特徴をできるだけシンプルに伝えるのが大きなポイントだと感じています。遠慮気味に伝えるのではなくて「うちの商品が一番!」と言い切ることが大切。はっきりしないのは、中途半端な印象で反応が得づらいように思います」

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プロデューサー・太田久美子
「もちろん、ひとえに海外と言ってもいろいろな国があります。特にヨーロッパはひとくくりにするのは難しいので、私たちもミラノに行く時とパリやロンドンに行く時ではプレゼンテーションの内容を替えています。それぞれ文化も違いますし、事前にリサーチしてどう相手に響かせるのか、その国にあわせてプレゼンすることも大切です。私がイタリアで驚いたのは、ピザのシズル表現の違いです。日本ではピザを持ち上げてチーズがとろりと垂れる表現が定番ですが、イタリアではこういった表現はあまりしないと言われました。おいしさを感じるポイントはその国の文化とともに変わるんですね」

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ウェブ制作・戸上律子
「グローバルサイトを立ち上げる際もいろんなサイトを拝見しましたが、シンプルでわかりやすいサイトは言語が違っても伝わることを実感しました。hueでは、まず私たちの強みに紐づいた「匠」、「美しい」、「迫力」、「斬新さ」、「古典的」という5つのキーワードを設定。それからフォトグラファーの作品を全てプリントアウトして、俯瞰で見ながらキーワードに沿ってセレクトしたのが『The Best Sizzle 100』です」

5つのキーワードを基にセレクトした『The Best Sizzle 100』


わかりやすく、シンプルに。かつ力強くアプローチするために。hueに所属する全てのフォトグラファーの作品をキーワードごとに分類して掲載したのが『The Best Sizzle 100』です。hueが大切にしている“そそる表現”がなにかを、言葉や文化を超えて伝わるように意識されています。リリースから約1年が過ぎ、海外からの問い合わせも少しづつ増えてきました。

グローバルサイトをきっかけにして生まれた事例
1)COSTA COFFEE
イギリスのカフェチェーン、コスタコーヒーの中国での広告写真を撮影しました。今までは画像処理をかなり多くして、自然な美味しさというより、作りもののような写真に仕上げるのが主流でした。しかし今回の事例は比較的ナチュラルな仕上がりになっています。こうした写真が中国でも受け入れられるようになっているのを見ると、中国の方のクリエイティブ感覚が少しずつ日本に近くなってきているのを感じます。
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2)Blue Bottle Coffee
ブルーボトルコーヒーの創業者であるジェームス・フリーマンさんがhueのスタジオにも訪ねてきてくれました。こちらは、アメリカで配布されたBBC初のルックブックで、hueのフォトグラファーが商品やシズル写真を撮影しています。アメリカ人のアートディレクターが私達のスタジオに来て撮影する形で行われました。
「OMOTENASHI」という冊子タイトルも思い切っていますよね。

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海外に向けたサイトを制作する際、「現在のWebサイトにあるコンテンツをどのように変換しようか?」と考えるケースが多いのではないでしょうか。しかし、日本と海外とでは文化が異なり、"おいしそう"という感覚もまた、そのちがいが現れる1つのようです。
大切なのは、その国の文化に合わせたアピールをすること。そしてできるだけシンプルに言い切ること。このポイントをおさえながら、世界中に日本が持っている美味しさやその表現を伝えていきたいですね。hueではこの記事で紹介した事例以外にも、国外向けのビジュアル制作の経験が多くあります。そういった経験や事例をもとにご相談を承っていますので、ぜひご相談ください。

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。

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