必ず答えをだすのが“サイコロ” フードプランナー・さいころ食堂の大皿彩子さんインタビュー

フードプランナーとしてhuerepにも所属し、活躍の場をますます広げている、さいころ食堂の大皿彩子さん。「伝えたい事は“おいしい”にまぶして伝える」をモットーに、数多くの食の仕事を手掛けてきました。

大皿さんのお話を聞いていると「ああ、そうか!」と、
ストンと腹落ちして気持ちがいい、そんな瞬間がたくさんあります。

例えば食べることが大好きという大皿さんに
「でも体型はいつもスラっとしていますね」と言うと
「お腹をすかせて美味しく食べるためにランニングと筋トレしています」
「ちょっと時間が空いたらヨガもしています」
「それも運動量の多いヨガを選んでいます」と次々に答えが返ってきます。
聞いていると「それ、真似したい!」と自然とヒントをもらうことになります。

転がって必ず答えを出すのがサイコロ。
大皿さんがフードプランナーとして立ち上げた“さいころ食堂”という名前にもそのスタンスが表れています。

広告代理店から食の仕事へ


大皿さんのキャリアは最初から食のフィールドだったわけではありません。もともと広告代理店などを経て、2012年に独立しました。代理店時代の「伝えたいものがあって、それをどう伝えるか」という仕事をシンプルに「食」に絞っただけで、大きく仕事の種類を変えた、という意識はなかったそうです。

そんな大皿さんがフードプランナーとしてまず最初に手掛けたのは「のみパン」。
これは前回のインタビューでもお話いただいた、大皿さん主宰の「のみ放題のパンづくり」というもの。
従来、パン作りというのは週末か日中に開催されるイメージですが、「のみパン」は平日20時スタートです。
「代理店の頃、最初は飲み会の仕切りを任されます“20時からで一人5500円、飲み放題”って決まっていました。そのフォーマットを使って飲み会感覚のイベントをやろうと思った。そうすれば人は集まってくれるし、その場で私の情報を伝えられる、新しい人にも出会える。私が会いたい人に会えるイベントにしようと思ったんです」。
相手のところへ出かけて、時間を取ってもらって、自分の話を聞いてもらう。というスタイルより効率がよい。かつ伝える側、聞く側の双方が楽しい。この場から生まれた仕事がたくさんあることが何よりの証拠です。
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仕事は人生。未来に軌跡を残すために。

さいころ食堂として5年目。クライアントとの仕事の中で、一緒に仕事をする仲間ができることも醍醐味の一つだと大皿さんは言います。「クライアントであったとしても、一緒に仕事している仲間です。仕事の時間のなかで、クライアントの中にも何かいいものが残ってほしいと思っています。クライアントも私も、人生の時間を使って、一緒にものを生み出すという貴重な経験をしているわけですから」

「仕事はお金を稼ぐことだけではなくて。軌跡っていうか、その人の人生。この場所で、何かを残していく大切な時間だと思っています。プロジェクトでは私が考えたことを私が実現するのではなく、クライアントが持っている灯のような熱意をみつけて引き出すのが最初のスタートです」

目の前のクライアントに対して、「歩み寄る」でもなく「寄りそう」でもない、
大皿さんは「憑依するんです」と笑顔で言い切ります。
一心同体になりたいとまで思って目の前のクライアントと対話をする。その積み重ねが仕事をするクライアントの胸に火をつけ、ゴールに導いていきます。

酪農家はミルクを作るプロ。
我々はミルク使いのプロ。

大皿さんが手がけたあるプロジェクトのお話を紹介してくれました。
タカナシ乳業から新たにオープンしたミルクパーラーの立ち上げの仕事です。大皿さんは「どうしたらいいと思いますか?」「どうしたいですか?」「どのような問題を持っていますか?」「どんな事がすきですか?」と目の前のクライアントと対話を続けました。

「タカナシさんの場合は会う人みんなが“牛乳本来の味”って言うんです。それがどれだけおいしいのか、その味にみんなが感動していて、真剣に伝えたいと思っている。その思いを象徴する商品が『低温殺菌牛乳』。66度で30分間殺菌しているのでタンパク質の変性が少なく、生乳本来のほんのりとした甘みが感じられる牛乳です」

プロジェクトが進むなかで、クライアントが当たり前のように「自分たちじゃなくて牛乳がすごい」と思っていることに気付いた大皿さん。会社がもつ技術も誇りに思っているけど、同時に乳牛や牧場をとても大切にしているし、牛乳そのものがおいしくて、それを伝えるために全力でがんばりたいって思っている。その姿勢にものすごく共感した大皿さんは、あるフレーズを企画書に書きました。「後日、会議のなかでクライアントの方がそのフレーズを使ってくれていたのが嬉しかったです“酪農家はミルク作りのプロ。我々はミルク使いのプロ”だから。と」
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もう一度ミルクに恋をする、ミルクパーラー誕生のお話。

今回オープンした、ミルクパーラーのコンセプトは「もう一度ミルクに恋をする」これは大人に対して語りかけていると大皿さんは言います。
「子どもの頃は牛乳大好きな子はたくさんいましたよね。でも大人になると他の飲料の選択肢も増えるからそんなに頻繁に牛乳を飲まなくなる。それは好きだって気持ちを忘れているだけ。大人になって、美味しい牛乳に出会えれば、子どもの頃に飲んだ好きだった牛乳を超えて、また好きになるんです」

「このミルクパーラーは「やっぱり牛乳好きだな」って思われる場所にしましょう、と言うと皆さん共感してくれた。その時、やっぱりタカナシの皆さんは牛乳がほんとに好きなんだって思いました。これならみんなで同じゴールに向かえると思いました」

自分たちが大好きなものを一人でも多く、好きになってもらいたいというシンプルな気持ち。ミルクパーラーのプロジェクトは、そんな気持ちだけで動いていました、と大皿さんは振り返る。プロジェクトの過程では、たくさんのメニューが登場したものの、おいしさを最重視するために、かなりそぎ落としたそうです。それは本当に牛乳のおいしさが伝わるものだけを厳選した結果。
「なので、どのメニューも自信作です!」と大皿さん。

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▲プロジェクトが始まって9か月、タカナシの牛乳に対する思いが体験できるミルクパーラーは2017年4月、横浜そごうにオープンした。

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▲タカナシさんがこだわる「牛乳本来の味」それを体験してもらうためにミルクパーラーのメニューは低温殺菌牛乳がベースとなる。低温殺菌牛乳を使ったミルクパーラーのソフトクリームは、コクはあるのに、体にすっと入るような自然な甘さ。牛乳の甘さと香りだけで作られている。大皿さん曰く「のど越しも良いんです」。

【info
タカナシミルクパーラー
神奈川県横浜市西区高島2丁目 18-1 そごう横浜店 地下2階
TEL/045-465-2709
営業時間10:00〜20:00
年中無休 (施設に準ずる)

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。

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