お茶の世界を知る。台湾茶・日本茶聞き茶ワークショップ

おいしい料理写真を撮る会社、ヒューでは今までキッチンスタジオを使って“食”に関するワークショップを開催してきました。その中でも人気だったのは『台湾茶』のワークショップ。当時、広尾で台湾茶専門店『茶通』の店主だった田島庸喜さんをゲストにお招きし、台湾で仕入れた様々な茶葉を飲み比べ、田島さんセレクトの茶菓子とのペアリングを楽しむ会でした。

その後、田島さんは日本国内の茶農家さんを巡り、
日本の茶葉のおいしさや奥深さを学んだそうです。
現在は、国産の無農薬茶葉を使った商品を開発している『The Tea Company』のメンバーとして、その美味しさを広めているとの事。
今回、ヒューではリニューアルしたライブラリーに田島さんを迎え、
日本茶と台湾茶のおいしさを教えてもらうワークショップを開催しました。

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『烏龍茶』ってなんですか?

田島さん(以下敬称略) 
台湾烏龍茶をまず飲んでみましょう。
今まで飲んだことのある烏龍茶と比べると、香りが違いませんか?
「烏龍茶とはなんですか?」とよく聞かれますが、その度に「ペットボトルやリーフなど、いろいろな烏龍茶が出回っているので、誤解だらけなんです」と答えています。
そもそも、お茶は緑茶も烏龍茶も紅茶も同じお茶の木から作られています。
烏龍茶は発酵茶で、緑茶のような発酵度が低いお茶から、
紅茶のような発酵度が高いものまでいっぱいあるんです。
天気、製法、作り手、品種、生産地などよって、
多種多様な香り味わいが醸し出されます。
烏龍茶を作る農家さんや販売する人が、「これこそが烏龍茶です」と
各々が自分の扱っているお茶のことだけを伝えることが多いので、
消費者はますます混乱してしまいます。

今の日本では発酵茶に対してのモノサシが確立していませんが、
本場の中国や台湾では専門の審査員が鑑定する品評会が行われており、
厳密な発酵茶のモノサシがあります。これから日本でも、
烏龍茶や紅茶の製茶や品評が盛んに行われるようになれば良いと思います。

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急須でお茶を淹れていますか?


田島 今日、ワークショップに来ていただいた皆さんのなかで、
自宅で急須を使ってお茶を淹れている人はいますか?

実はいま、急須でお茶いれる人がとても少ないんですよね。
『The Tea Company』ではお茶の美味しさをしっかり楽しめるボトルティーを主に提案していますが、今後は多くの方に急須で美味しいお茶を淹れて楽しんでもらいたく、そういった提案もどんどんやりたいです。
自宅で急須を使ってお茶を淹れるライフスタイルこそ、
本質的なお茶の楽しみと安らぎをもたらしてくれると考えております。

次にほうじ茶も飲んでみましょう。
お茶だけ飲むと個性的な印象ですが、食べ物が加わると、
またニュアンスが変わります。今日はきなことくるみのお菓子を用意しました。
お菓子の芳ばしさとのペアリングで、ふわっとした香りが楽しめます。
そして何よりの特徴はアフターと言って、とても心地よい余韻が長く続きます。


繊細な日本茶の魅力


田島 つぎは玉露です。
普段の生活のなかで、玉露はあまり飲む機会が少ないのではないでしょうか?
これは鹿児島の玉露の茶葉です。針のような形状でツヤがあるでしょう。
緑茶の1煎目は40度~50度の低温で淹れると濃厚な旨味が楽しめます。
2煎目は少し温度をあげて、渋みや爽快感も感じていただきましょう。

弊社がお取引している日本の茶農家さんは、自然の摂理をよく観察し、
手間を惜しみません。太陽、水、天気などのあらゆる自然条件に対応して、
茶園を管理して元気な茶葉を育てています。
そういった生産者のメッセージが一服のお茶に籠められています。

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それぞれの茶葉の個性を楽しむ


田島 日本の緑茶は大体、沸きたての高温で淹れると一気に渋みが出て、
味わってもらいたい旨味や甘味が感じ難くなってしまいます。
それぞれの茶葉にあわせた湯加減でじっくりと淹れて、
その繊細な味わいや奥行き感を楽しんでほしいと思います。

一方で、中国や台湾の烏龍茶は熱々の高温で大胆に淹れて楽しみます。
多くの烏龍茶は高温で淹れると香りがしっかり楽しめます。
烏龍茶の楽しみ方の特徴として「聞香杯」(もんこうはい)があります。
“香りを聞く杯”と書くように、お茶を飲む前にその香りを聞いて香りの変化を楽しんでいただきます。今日淹れた台湾の文山包種茶は、最初はクチナシのようなお花の香りから、森林のような香りに変化し、
最後には和三盆のような甘い香りの変化が楽しめます。
飲む前に香りを楽しむ、というところはワインと似ている楽しみ方ですよね。

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日本茶の魅力を伝えるために

今の世の中は、物質的な豊かさを偏重する傾向にあり、
目にみえない「真の豊かさ」を感じることが少なくなってきていると思います。
改めて、「本当の豊かさって何だったんだろう」と考えた時に、
家でお茶を急須で淹れることでそれを再発見できると思います。
日本は中国からお茶が伝えられて長い歴史があるのに、
今の日常生活の中で疎遠になってしまっています。
やはり、急須で淹れたお茶を楽しんでほしい。
お店へ行って、自分で好みの茶葉を選んで、それに合う茶器を選んで、
そんな風に生活の中でお茶を淹れると心身ともに潤いますよね。

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一方で、静岡の茶農家さんは今、平均年齢が70歳と言われています。
高齢化のため、農園の維持ができず手放してしまう
耕作放棄する茶農園が多くなってきている。
この状態があと10年続けばますます放棄茶園は増えていくでしょう。
私たち『The Tea Company』はそういった耕作放棄された茶農園を再利用するプロジェクトも取り組み始めました。

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最近はガストロノミーといわれる高級レストランが増え、
サスティナブルな取り組みをしている生産者を支持する料理人や
日本茶のカフェやティースタンドなんかも登場しはじめました。
若い世代のシェフやオーナーたちが、
革新的に日本の食材に着目して生産者を応援しているのをよく聞きます。
日本の食とお茶の伝統を次世代にどう繋げるか、
そして今やらなければならないことは何があるのかを話し合って、
実際に動き出さなければならない時期にきています。

ライフスタイルにあわせて、お茶の楽しみ方も多様化しています。
自分にあうお茶の楽しみ方を見つけて、茶葉本来の美味しさを味わいたいですね。今回の記事に紹介したのはワークショップのごく一部です。
より深くお茶の魅力を知りたい方はぜひ『The Tea Company』のサイトも覗いてみてください。


hue:田島さん、奥深いお茶の世界を教えてくださってありがとうございました!

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プロフィール
TheTea Company 取締役/茶師・薬膳師
田島 庸喜
北京中医薬大学日本校卒業。
和食の板前を経験し漢方医の資格を取得後、薬膳の普及活動に携わり、東京広尾にて中国・台湾茶専門店を経営。中国茶の奥深さ幅広さに魅了され、中国茶文化の研究をライフワークとし、セミナー、商品開発、著名レストランへのお茶のコンサルティング、料理とのペアリングの提唱などを行なっている。また、日本国内のお茶生産農家を巡り、日本茶の可能性について探っている。

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著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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