「愛を生み、人をつなぐ食を撮る」フォトグラファーインタビューvol.1 ジョ ヘミ

hueにこの4月、浦野航気、許カミン、近藤恵佑、ジョ ヘミの4名のフォトグラファーが新たに誕生しました。

それぞれ個性が光る4名が、作品のテーマやこれからの夢について語ります。

第1回目は、ジョ ヘミさんです。

ジョさんの作品は、まるで映画のワンシーンを切り取ったような写真。そこに漂う空気感は、エロスです。

その背景にはどんな想いが込められているのか、ジョさんに伺いました。

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――普段何気なく見ていた食べ物が、こんなにも官能的に撮れるなんて…。ちょっとドキドキします。作品のテーマは何ですか?

テーマは、「食と愛は、人を思いやるということ」です。

これは私のコンセプトでもあります。

誰かが作ってくれたご飯を食べて、それが自分の身体になるということ。

誰かに愛されて、その気持ちが自分の一日を作ったり、自分の人格形成にも影響するということ。

こうした素晴らしい食と愛のつながりを見つけ、作品を作りました。

そこには神秘的ないやらしさがあります。

自分の頭の中にあるイメージもあれば、そのものが持っている質感やエロスを引き出して表現しているものもあります。

――食と性については社会学の一つのテーマでもありますよね。そこに辿り着いた背景が気になります。

まずはジョさんの経歴を教えてください。

私は韓国・ソウル生まれで、韓国の大学で産業デザインを学んでいました。

その頃留学を考えていたのですが、東洋と西洋の文化を持っているところに魅力を感じた日本に決めました。

2008年に来日し、東京工芸大学で4年間写真を学びます。

1、2年生はフィルム、3、4年生はデジタルが中心でした。

hueを知ったきっかけは、同校の卒業生である大手(大手仁志・hue代表取締役社長)が大学で行っていた講義です。

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                                                                      photo:Kamin Kyo

――それまでは食の写真は撮ってきましたか?

ほとんど撮ってないですね。

入社面接の時に持参したフォトブックにも食の写真は一枚もなかったんです。

――食べることは好きだったとか?

正直今は食に対して、特別にこだわりが強いというわけではありません。

――食べることが大好きな人たちが多いhueの中では珍しいですね!

でもこうして話していると、子供の頃の食体験を思い出します。

私の家は両親が厳しく、お菓子やファストフードをあまり買ってもらえなかったんです。

毎日お母さんが作るご飯を食べて育ちました。

母は元々演劇をやっていた人で、結婚後は専業主婦になりました。

父は建築関係のビジネスマンです。

私は全く異なる職種の二人の影響を受けているかなと思います。

インスピレーションの源は映画のシーン

――食を撮り始めてみて、どんなところが面白いと思いましたか?

食べ物が持っている形や質感が素晴らしいなと感じたんです。

それぞれみんな違う形をしていて、一つとして同じものがない。

――なるほど。食べ物はついつい味覚の体験に結びつけてしまうけれど、それをものとして冷静に観察することで生まれる、新しいイメージはありますね。

昔から観察することが好きだったんです。

乾燥しているものにはあまり魅力を感じず、どちらかというとウェットなものが好きで、そこにエロさを感じます。

ただ撮るだけでは素材そのままになってしまうものにも、観察して感じたことを表現したり擬人化することで、自分の世界観を出しています。

――ジョさんの作品を見ていて感じたのは、食べ物の擬人化だけではなく、実際の人の存在やストーリー性です。

私は子供の頃から映画が好きでした。

気に入ったシーンやトーンを見つけると、スクリーンショットして、作品のアイデアやインスピレーションになっています。

だから屋外で撮影することよりも、スタジオの中でシチュエーションを作って表現する方が好きです。

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私は食べ物には、それを食べる人がいなければ意味がないと考えています。

そのためには人に寄り添った撮影が必要です。

私は感性的な人間なので、何を食べるかよりも、誰と食べるかが重要なんです。

例えば、好きな人と一緒におにぎりとビールを買ってきて公園で味わった時は心から美味しいと感じます。反対に、嫌いな人とどんなに高級レストランに行っても全く楽しくありません。

だから私の写真はワンシーン的なものになります。

いつか映像を作っている人たちとも一緒に働いてみたいですね。

映画でも、写真でもない、曖昧で新しい世界を作ってみたいです。

国を越えて人と人をつなぐ

――映画の表現から着想を得ているというのは納得です!

その他に興味を持っている表現方法はありますか?

手話を学びたいです。

手話はジェスチャーとアイコンタクトだけでコミュニケーションを取れることが、めちゃくちゃカッコいいと思うんです。

私は人とコミュニケーションすること、そして「この人は何を考えているのだろう?」と相手を観察することが好きです。

写真も映画もコミュニケーションツールだと考えていますが、手話もその一つです。

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――これからの夢を教えてください。

まず自分のミッションとして、hueがアジアで活動するベース作りをしたいと思います。

私はその中で、フォトグラファーでありながらプロデューサーとしてこれから活躍していきたいです。

その時に活かされるのは、言語力はもちろん、日本で働く外国人としての感性です。

日本にはただただ商品の写真が続く広告が多いのですが、海外には「これは何の広告だろう?」と考えさせるものがあります。

私も直球ではなくて、こういう考えさせるようなものを作っていきたいです。

さらにその先の夢としては、編集長になりたいです。

雑誌に限らずディレクションを行うような人です。

これから何が流行るのか分かりませんが、いつの時代も人の心理にタッチすることが重要です。

常に人の気持ちを大切にした作品づくりができればいいなと考えています。

――ありがとうございました!

豊かな感性を持って、世界に活躍の場を広げるフォトグラファーの今後にご期待ください。


※フォトグラファーインタビューvol.2 浦野航気はこちら
※フォトグラファーインタビューvol.3 許カミンはこちら

※フォトグラファーインタビューvol.4 近藤恵佑はこちら

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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