「溢れる遊び心から生まれるシズル」フォトグラファーインタビューvol.3 許カミン

hueにこの4月、浦野航気、許カミン、近藤恵佑、ジョ ヘミの4名のフォトグラファーが新たに誕生しました。

それぞれ個性が光る4名が、作品のテーマやこれからの夢について語ります。

第3回目は、許カミンさんです。

ドーナッツ?と思ったらタワシ、ハンバーガーは泡まみれ、断面を見せている餃子はよくみるとお皿まで真っ二つ。
ワクワクするようなギミックの効いた世界観について、カミンさんにうかがいました。
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――楽しい、大胆、躍動感、派手、普通じゃない、ありえない世界…。
カミンさんの作品を見た人はいろいろな感想を抱くと思います!

「遊び心」をテーマに作品を撮影してきました。
今までのシズル表現だけではなく、食べ物をおもちゃのような存在として捉えた作品の撮り方をしています。
食べ物と全く関係ないものを組み合わせることも好きなので、シェービングフォームとファストフードを合わせてみたり。
また、自分が経験してきたものを作品の中で表現してみたいので、好きなゲーム機器と食べ物をコラボレーションさせたりしています。

――カミンさんはどんな経緯で写真を始めたんですか?
写真に限らず、デザインなど様々なことを勉強されてきたのかなと。

私は、中国上海で生まれで、大学を卒業するまでは母国にいました。
大学ではグラフィックデザインを学んだのですが、デッサン含め様々なことを学ぶ中で、広告の写真を撮る授業を受けました。
当時はそこまで写真に興味がなかったのですが、たまたま家にあった一眼レフを使って作品を撮りました。

その後来日し、東京造形大学大学院デザイン科へ。
大学の先生から勧められたことがきっかけで、本格的に写真の道に進みました。

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                         photo by Hyemi Cho

――その頃から食の写真を撮っていたんですか?

その先生はドキュメンタリー作品が得意で、モノクロが多かったんです。写真の粒子感を勉強したり、けっこう渋い作品を撮っていました。

――今とは全然違いますね…。

進路を決める時期に、大学の先生から勧められ、hueで実習をしました。
当時hueでは、大手(大手仁志・hue代表取締役社長)が講師となって、土日に学生向けのワークショップをやっていたんです。
例えば、どうやったらアイスクリームを上手く撮れるかなど。
元々食べるのが好きだったこともあり、食の写真にどんどん惹かれ、2014年hueへ入社しました。

人生のコントラストを食の写真へ反映したい

――入社してからどんな写真を撮っていたのですか?

アシスタントの頃は、食品のシズル感を追及する撮影よりも、液体がバシャッと飛んでいる瞬間の撮影を多く見てきました。

広告だと完璧なものが写されているけれど、自分の作品では、完璧になる前の状態や、完璧なものを崩した写真が撮りたかったんです。
例えば、料理途中のものや、食べかけのものなど、あいまいな瞬間を撮ったり、床に落ちて溶けていくアイスクリームを撮ったりしていました。
こういう構図にはデザイン学科で学んだことが活きていると思います。

シチュエーションやスタイリングを活かして撮るライフスタイルの撮影よりも、ライティングをしながら自分の世界観をゼロから作り込んでいけるスタジオ撮影が好きですね。

――写真だけではなく、グラフィックデザインなどその他の表現方法も学んできた中で、写真にしか表現できないことって何でしょう?

写真とは、真実を写すこと。
既に存在するものが持つ魅力を、自分の目で、そしてカメラで引き出します。
プロのカメラマンと、素人が撮った写真の違いが出るのは、その引き出し方の違いなんだと思います。
対してデザインは、そういう枠がなくて、やりたいことが何でもできてしまうのかなと思います。
ただ、私は妄想することも好きなので、リアルじゃない世界も写真で表現しています。
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――異なる文化圏を経験してきたカミンさんにとって、シズル感についてはどのように考えていますか?

広告写真だと、今の日本ではあまりいじらずに、ありのままを写すことが一般的でしょうか。
反対に中国では、大げさな表現で、迫力やインパクトのある写真が多く、色味も大きく変えたりすることが多いですね。
私は中国から日本、いわばコントラストのはっきりした人生を送ってきたと思っています。これを自分の作品の中に活かしていきたいです。

変わりゆく時代の中の表現者として

――これからの写真はどうなっていくと思いますか?

誰でも気軽に撮れるようになり、今までのような基準がなくなってきています。
今までの写真は、時代の先端を行くプロが判断していました。
でも今は、表現というものが枠組みを越えて、どんどんオープンなものになってきています。

――カミンさんのミッションは?

アジアマーケットの開拓です。
上海にはamanaの拠点もあり、環境も整っています。

私の強みは、言語力と、中国と日本のそれぞれの文化的背景が分かっていることです。
仕事は人と人とのつながりなので、中国人の性格や民族性を分かった上でのアプローチは他の人には出来ない方法だと思っています。
だから今は写真とあわせてプロデュース業務についても勉強していて、自分が開拓したお仕事を自分で撮影できるような、フォトグラファー兼プロデューサーというポジションを目指しています。



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――カミンさんはこれからどんな写真を撮っていきたいですか?

まずは、シズル表現をマスターしていきます。
お客さんの要望を満たしつつ、今までの自分の経験、育った環境や国籍を作品の中で表現していきたいです。

人物も撮っていきたいし、自分の個人活動も積極的に行って、展示会もできたらいいなと思っています。
また、友人がチームラボにいて、最新のテクノロジーを駆使したプロジェクトをやっているので、いつか自分の作品もコラボしたいですね。

もっと先は、アートディレクターかもしれないし、シェフになってレストランを開いているかもしれない。

だからその時にはフォトグラファー以外に、もっと大きな肩書きを持っていたいです。

作品と同じく、様々な可能性を秘めたカミンさんのこれからの活動をどうぞお楽しみに!

※フォトグラファーインタビューvol.1 ジョ ヘミはこちら
フォトグラファーインタビューvol.2 浦野航気はこちら
※フォトグラファーインタビューvol.4 近藤恵佑はこちら

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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