「観察眼から誕生した夢の世界」フォトグラファーインタビューvol.4 近藤恵佑

hueにこの4月、浦野航気、許カミン、近藤恵佑、ジョ ヘミの4名のフォトグラファーが新たに誕生しました。

それぞれ個性が光る4名が、作品のテーマやこれからの夢について語ります。

第4回目は、近藤恵佑さんです。

近藤さんの作品を眺めていると、夢を見ているような感覚になります。その幻想的な世界が、まさか身近な食べ物から作られているなんて…。近藤さんのこだわりについて伺いました。
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――これは風景写真?
でもよく見ると、存在し得ない、すごく不思議な世界が広がっているという。

これは『Dream Scape』という作品です。

テーマは、
「観察から妄想を膨らませて、夢の世界へ旅に出る」

私はモチーフを様々な角度から観察し、妄想を膨らませて、イメージを形作っていきます。
アウトプットで目指すのは、自分が憧れるような、見る人が感動するような世界観を作ることです。

このシリーズでは、食べ物で風景を作りました。
例えば、トップの写真の雪山。
こちらはパンでできています。
パンの形やディテールから荘厳な雪山、そしてそこから差し込む御来光をイメージして撮影しました。

――近藤さんはどうやって写真と出会ったんでしょうか?

元々私はイラスレーターになりたくて、多摩美術大学へ行きました。
でも大学には自分より早く描ける人がいっぱいいて…。早々に別の道を探し始めたんです。
2年生の時はグラフィックデザイナー志望、でもデザインの授業の評価はイマイチで…。
そんな時、大学入学時に父親からプレゼントされたフィルムカメラを持って自然の中へ出かけるようになりました。

――初めての写真体験はどうでしたか?

私の家や大学は山に囲まれた、身近に自然あふれる場所だったんです。
散歩しながら自然を撮影することは、最高の息抜きになりました。

中でも「川」をよく撮っていました。
動いている水、形のない水を見ていると、心が落ち着いて。
また、流れ続ける水が、シャッターを切ることによって写真に収められることが面白いなと思ったんです。
自分の中では、現実逃避の時間を切り取っているという感覚もあり、写真の世界にすっかり魅了されました。
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                                                                   photo by Koki Urano

――その当時は食の写真は撮ってましたか?

ほとんど撮ってないですね。
初めて食を撮ったのは、4年生の初めぐらいで、江ノ電沿線の商店街を盛り上げようという企画に参加した時のこと。
自分の作品を展示してもらったお店のオーナーから、メニュー写真を依頼されたんです。スタジオ撮影ではなく、自然光でナチュラルに撮影してほしいと。
店内の雰囲気も取り込んだ写真は、すごく気に入ってもらえました。

就職の時期になり、風景写真で食べていくのは難しいだろうということで、広告写真の世界へ行くことに決め、2015年にhueに入社しました。

食べ物との距離を縮めることで見えてきた世界

――入社して、食の写真を撮り始めてみた感想は?

食べ物も川の流れと同じで、流動的なものの一瞬を切り取るという点が似ているなと思いました。
水系の撮影も多く、今までとは違った、ふわっとした、ぬめっとした水の表情を探ることが楽しかったです。

また、今まで身近なもの過ぎて、あまりよく見てこなかった食べ物との距離が一気に縮まりましたね。
そこで食べ物の形やディテール、一個一個の有機的な違いから伝わってくる面白さに気付くことができました。

――その観点から、『Dream Scape』のような作品が生まれたんですね!

私の強みは、観察力から生まれるアイデアです
食べ物には様々な形やディテールがあり、個体差も大きい。そういうひとつひとつ違う形を組み合わせて、自分が夢見ている、行ってみたい、見てみたい景色を作り上げています。
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――こういうものの見方をしている近藤さんが考えるシズル感とは?

シズル感は食に限ったものではないと思うんです。もっと広く、そのものが持つ魅力と捉えています。
夢を見ているような時間は、その世界へ誘われる。
私はそういった世界でシズル感を表現していきたいです。

――様々な表現方法を学んできた中で、写真でしか表現できないことは何でしょう?

リアリティや臨場感ですね。
存在するものを写すから、説得力もあります。
例えばパンの雪山の写真も、これがイラストではただの雪山になってしまいます。
元々写実的なイラストを描いていたのですが、写真のリアリティには敵わないなと思います。

観察力から生まれるアイデアが活かされる場

――これから写真はどうなっていくと思いますか?

写真は一枚画としてしか語れません。
デザインは文字も入りますし、動画は音も付けられます。
作品の横で常に自分が想いを語れるわけではないので、写真だけでどれだけ語れるか求められます。

また、誰でもどこでも写真が撮れるようになった今、写真の価値や表現方法は激しく変化しています。
今の時代、写真は発信力と言われていますが、さらにプロに求められるのは、技術力やアイデアだと思っています。
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――近藤さんのミッションと夢は?

私は自分の強みでもあるアイデアを使って、広告をもっと面白くしたいと考えています。
この考えを共感してもらえるアートディレクターやクリエイティブディレクター、プランナーと一緒に、色々な仕事をしていきたいです。
そのためにも、まずは国内外の広告賞を獲得したいと思います。

20年後、30年後は、フォトグラファーじゃないかもしれないです。
これから色々な表現方法が出てくると思うので、写真に執着せず、興味を魅かれたものは積極的に吸収したいと思います。
でも変わらずに見る人に感動や驚きを与えられるクリエイターでありたいです。

観察力から生まれるアイデアで新たな世界を切り開く近藤さんのこれからにご期待ください。

※フォトグラファーインタビューvol.1 ジョ ヘミはこちら
フォトグラファーインタビューvol.2 浦野航気はこちら
フォトグラファーインタビューvol.3 許カミンはこちら

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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