【シズル対談】料理写真と食品サンプル、どこまでも奥深い“シズル表現”vol/1

30年間にわたり、料理撮影を続けてきたシズルフォトグラファー大手仁志
実は以前から会ってお話をきいてみたいと思ってきた人物がいます。
それはテレビなどにもたくさん登場されている
食品サンプルの達人・竹内繁春さん。
食品サンプルと料理写真、違ったフィールドではありますが、
竹内さんが作り上げた数々の作品に、なにか撮影にも通じるシズルへの
こだわりを感じてきました。


今回は、特別に竹内さんの工房へお邪魔し、食品サンプルと料理写真
それぞれの“シズル”について、とことんお話を伺いました。
2人のシズル談義はどんどん深いほうへ、濃いほうへ。
最後には、二人ともが目を輝かせた子供のように
互いのクリエイティブ話に夢中になりました。
竹内さんの工房がある名古屋で実現した2人のシズル対談を全3回でお届けします。

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料理写真と食品サンプル。それぞれの共通点

竹内 
今日はわざわざお越しいただいて。僕も東京へはよく行くんですよ。
テレビ局のお仕事なんかで。


大手
僕は昔から、竹内さんが登場するテレビよく見ていました。
だから一度お会いしてみたいなあ、って。今日はありがとうございます。
僕は料理の写真専門で、広告の撮影をずっとやってきました。
仕事の内容としては食品メーカーさんの広告撮影や
パッケージなんかを撮っています。

竹内
料理の写真って難しいよなあ!
(大手の作品を見て)でも湯気のある瞬間とか、おいしそうな写真ばっかりだ!

大手
だから竹内さんが作るサンプルと僕の料理写真って、
どこか狙いどころや、
求めているところが近いなって思っていました。

竹内
僕もね、躍動感のある食品サンプルってのを目指してやっとったのよ。
サンプルって昔は躍動感ある表現がなかった。
それをどうにかしたいなあって。

大手
湯気の表現はどうやって出されるんですか?

竹内
それはねえ、今までは秘密ですって言っとったんやけど(笑)。
正直言うとねえ、料理のカメラマンが上手に写真撮るから、
サンプル屋の仕事が減っとるんだわ。

大手
ある意味、競合相手ってことだったんですね。

竹内
そう。今までは店頭にサンプル置いていたのが、
写真付きのメニューがどんどん出てきて、
サンプルの需要がなくなってきたりする。
だから悔しくて“よし!俺は写真に撮れることだったら、
サンプルでも出来るようにしてやろう!”と思い立って
あの湯気の表現を思いついたんよ。
サンプルも湯気を止めることができるぞって。


大手
なるほど!


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 ▲たこ焼きから湯気!「写真に負けてなるものか」と竹内さんが思いついた湯気のでるサンプル例。

“箸あげ”の元祖に聞く、アイデア誕生の秘話。

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大手
食品サンプルで一番最初に“麺の箸あげ”を作ったのは竹内さんなんですよね。
あれを最初に見た時、衝撃でした。

竹内
そうそう、最初に作ったんは、蕎麦の箸あげ。
それからうどん、スパゲティに、飛んでる炒飯とかね。

名古屋はうどん屋さんが多いんですよ。だから麺の仕事がたくさんくる。
うどんは、ぶ厚い器や、かま揚げなんかは桶に入るでしょう。
そしたら中の麺が見えづらい。しかもかま揚げって値段が高いじゃん。
だから陳列棚も上の方に置かれる。
そしたらますます麺が見えんわけ。
だから、箸で持ち上げたら見えるかなあ、思って。


大手
そこが箸あげ誕生のきっかけだったんですね。

竹内
いや!実は箸上げのアイディアは、コーヒーのフレッシュから思いついた。
コーヒーとフレッシュが混ざっているところのサンプルを作って、
同じ要領で箸あげが誕生したわけよ。

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 ▲おそらく40年以上前に誕生した『コーヒーの正しい飲み方』を表現したサンプル

大手
でもなんで、コーヒーのフレッシュが先だったんですか?


竹内
それは昔、まだコーヒーが珍しかった時代に知り合いの子がね、
都会に出てきた時に、コーヒーの飲み方がわからなかった。
今思うとバカな話なんだけど、
コーヒーと小さな器にフレッシュが入ってきたのを見て、
「なんで、カップが2つも出てくるんだ??」と思って、
まず小さい器のフレッシュを飲みほしてしまったわけ。
その話をきいて、「そうか!コーヒーの飲み方がわかるような食品サンプル作ったらええんちゃうんか」って、思いついたわけ。

大手
それは何年前ですか?きっとかなり昔ですよね。


竹内
相当前だよ!僕が18歳くらいの時だから40年以上前かなあ。

“箸上げ”誕生の、実は意外な秘話がお聞き出来た今回のシズル対談。

2人のシズル対談は次回へ続きます!
第二弾では、今や食品サンプルの第一人者となった竹内さんが
どんなきっかけでこの世界に飛び込んだのか、40年以上になるそのキャリアについてもお話いただきました!お楽しみに。



プロフィール 竹内繁春
日本のサンプル職人。食品模型のアイディア(さんぷる屋さん)代表。
独自の観察力と豊富なアイディアを活かし、数多くの食品サンプルを手掛ける。
その技術や表現力はテレビでも多数取り上げられ、テレビチャンピオン二連覇を達成。また平成16年にはサンプル業界では初となる『第27回国美藝術展 特別賞』を受賞。

プロフィール 大手仁志
フォトグラファー、シズルディレクター、「食」の撮影を専門とするスタジオhue代表取締役。1965年栃木県生まれ、1985年株式会社アーバンパブリシティ(現・株式会社アマナ)に入社。その後30年間に渡り「食」に関する広告写真の撮影に携わる。食材や料理がもつ生命力を切り取り表現することが食のフォトグラファーの使命と考え、数多くの広告賞を受賞。最も好きな食べ物は餃子。

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著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。

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