“シズル”で街の魅力が伝わる写真教えます!丸の内朝大学「シズル・クリエイタークラス」の取り組み

社会人の朝活の場としてさまざまな講座を運営する「丸の内朝大学」。その一つに「シズル・クリエイタークラス」があります。 
クラスの目的は、伝わる写真の撮り方を学び、現地に行って町の魅力を発信すること。これまでに青森、熊本、新潟、仙台をテーマに開講し、いずれも定員40名のクラスが申し込み受付開始から数分で満席に!
リピーター続出の人気講座の秘密を、講師を務めるシズルディレクターでフォトグラファーのhue大手仁志が語ります。

シズルの視点で見えてくる地域の魅力

丸の内朝大学(以下、朝大)の「シズル・クリエイタークラス」は、2015年の春にスタートして5期目を迎えました。

この講座を開設した一番の目的は、“相手に伝わる写真を撮ること”です。

僕は、広告というジャンルで写真を仕事にするようになって、30年以上経ちます。ミッションは、スポンサーやクライアントが持っているテーマや情報を伝えて、課題を解決することです。そのためには見た目だけきれいな写真を撮るのではなく、狙った層に伝わる写真を撮ることが求められます。

最近はスマホのおかげで一般の方でも気軽に写真を撮り、SNS等で発信するようになりました。また、通勤途中にスマホでニュースを見たり、情報検索をすることで写真を見る機会も圧倒的に増えています。
こうした背景を受け、折角写真を撮るのなら、伝わる写真を撮って、「いいね!」や、コメントがもらえるようになってほしいと思うようになりました。

朝大に来ているみなさんは、コミュニケーション力があり、モチベーションも高いのが特徴です。朝の7時15分から何かを学ぼうとしている方達ですから。
そこで培ったスキルを何かに活用することで、さらにモチベーションを高めていただこうと思い、地域活性化をミッションとして掲げてみました。

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授業は3か月で全8回。
写真の基礎や技術はもちろんですが、内容によっては外部講師の方もお招きして講義は行われます。
例えば、『料理通信』のSNS担当者の方からは、写真にどういう文章を付けたら響くかという情報発信のコツ、外国人観光客の情報サイトである『トリップアドバイザー』の広報の方からは、外国人観光客は街のどこに目をつけ、どんな写真に興味を持つのかということを講義していただきました。
また、期ごとに一つの地域をテーマに決めているので、現地の方に来ていただき、生の声を聞く場も設けています。

座学で学んだ後は、フィールドワークとして、ヒューのスタジオで撮影体験をしていただきます。ライティングのために料理を窓際に寄せる、スプーンの位置を変えるなど、ほんの少しのこだわりで、写真がぐんとうまくなることを感じられると思います。

また、教える立場からも、写真を撮る視点が変わった受講生の上達は手に取るように分かります。それは最初のフィールドワーク先である青森で実感しました。
観光名所にはほとんど行かず、ぶらぶらと町歩き。シャッターが閉まっている店も多い中、受講生は昭和レトロっぽい街灯や靴屋の陳列、パン屋の看板などを探してきては次々と写真を撮っていきます。その土地に暮らす方にとってはなんてことのない日常の光景でも、受講生の目にはその全てが魅力的なものに映ります。

地元の方にお話をうかがうと、「青森をこういう目線で見てくれたのは初めてなので嬉しいです」という言葉をいただき、シズルの視点を持つことで地域に貢献できることを確信しました。

カメラを通して地域の人と交流しよう

こうして撮影された写真を活用して、今までのガイドブックやパンフレットとは異なる、新しいアウトプットの形を作ることにしました。

青森のクラスでは、商工会議所の人と組んで地元のフリーペーパーを作成しました。
熊本では、県の観光課の協力で、市民ボランティアのガイドツアーをモニター体験させていただきながら、街並み、食、温故知新、お土産の4テーマでチーム分けをして写真を撮り、小冊子にまとめました。
新潟、仙台ではフォトブックを作りました。
受講生にとっても、自分達の活動が形になるのは嬉しいですよね。

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さらに、Instagramに「SLIZZE TRAVEL®/シズルトラベル」というプラットホームを作り、青森だったら「#青森シズル」、熊本だったら「#熊本シズル」というハッシュタグで、その地域のファンの方が自分達の目線でタイムリーな情報をアップするまとめサイトを展開しました。

朝大生の投稿がベースですが、地元の方や旅行者にもハッシュタグを使ってもらうことで、その地域の情報がどんどん増えていくような、ビジュアル版のクチコミガイドを目指しました。

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シズル・クリエイタークラス〜地域の魅力を発信!-青森編-

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シズル・クリエイタークラス〜地域の魅力を発信!-新潟編-

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シズル・クリエイタークラス〜地域の魅力を発信!-周防大島編-

また、このフィールドワークでは、その地域の固定ファンを増やして何度も行きたくなるような場所にしたかったので、地元の方との関係作りにも重点を置きました。

旅先で地元の方とよい関係を築くポイントとしては、写真を撮る前に「撮ってもいいですか?」という声掛けです。それは、許諾を得るためではありますが、地元の方との会話の第一歩でもあり、このひと言でカメラを通したコミュニケーションができます。

撮影の許可をもらったら、被写体を少し動かして最適な角度で撮影することもできるし、地元のおいしいもののおすすめの食べ方を教えてもらえたりと、たくさんの情報を引き出すことができます。再訪した時にその時に撮った写真を見せたら自分のことを覚えていてくれることも。営業活動で地方に行っても、こんな関係値は築けないと思います。

パンフレットには載っていない、私のお気に入りを伝えたい!

地域の魅力は探せばいくらでもあります。今までも自治体が地域の情報発信に力を入れてきたと思いますが、パンフレットやポスターで見ると確かにいい写真であっても、それを自分も体験できるというリアル感が足りなかったのかもしれません。そのリアル感を伝えることが“シズル”だと思います。シズルトラベルの写真は、一般の方達が自分達の目線で撮っているので、現地に行けば誰もが同じ体験をすることができます。

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こうした地域に密着した活動を続けていたところ、島根県隠岐島の自治体の方から、ぜひうちにも来てほしいという依頼がありました。そこで朝大OB・OG限定で20名のモニターを募集して、「隠岐シズル」というプラットホームを制作しました。朝大のフィールドワークと同様に、現地集合・現地解散のツアーで交通費は自費。滞在費は島根県が持つ代わりに、撮った写真を「隠岐シズル」にアップしてもらうというミッションを与えました。すると、2泊3日の旅でその数なんと1000枚!これには自治体や地元の方も驚かれ、第2回目も実施されました。


このように朝大のクラスの活動が継続的に発展していることは僕としても嬉しいです。教室でお付き合いしたみなさんとはFacebookのグループが作られ、自主トレとしてアップされた写真に対して僕がコメントを返すというやりとりを行っています。撮影会やオフ会にもできるだけ参加するようにしています。
また、卒業生ために、『シズル校友会』というコミュニティーを設けています。台湾や香港、フィレンツェなどで現地集合・現地解散の撮影会を企画して、遊びながら学ぶ旅をしています。撮る人が楽しみながら撮影することも、伝わる写真のポイントです。

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こうした活動を通じて、これからも一般の方の撮影スキルの向上を図っていきたいです。インスタグラマーと一般の方の中間層を厚くし、横のつながりを活用して地域の情報を発信し、クチコミでファンを増やしていくことで、地域の課題を解決できると考えています。

また、僕自身もこういう方達と一緒に活動することで、あらためて写真の楽しさに気付かされましたし、とても刺激になっています。ここからさらに地域への新しい取り組みが生まれそうです。

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プロフィール 大手 仁志 Hitoshi Ote
フォトグラファー、シズルディレクター、「食」の撮影を専門とするスタジオhue代表取締役。1965年栃木県生まれ、1985年株式会社アーバンパブリシティ(現・株式会社アマナ)に入社。その後30年間に渡り「食」に関する広告写真の撮影に携わる。食材や料理がもつ生命力を切り取り表現することが食のフォトグラファーの使命と考え、数多くの広告賞を受賞。最も好きな食べ物は餃子。

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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