【and. people】食ライフのプロにインタビュー 「食のプロって何?」

【and.people】このシリーズはand.で活躍する食のクリエイターたちの“いま”を探るべく、普段の飾らない素顔や仕事内容をのぞいてみました。プロだからこそ知るテクニックや裏事情は、目からウロコ!知って得する情報も盛りだくさんでご紹介していく連載です。
今回、担当してくれたのはキッズ食育トレーナーの玉田悦子さん。
撮影はフォトグラファー近藤 恵佑(こんどう けいすけ)が担当しました。

「おいしく、つながる」/キッズ食育トレーナー

今回は、子ども向けの食育を中心に活動されている
キッズ食育トレーナーの玉田悦子さんにお話しを伺いました。
小さな子どもに、料理を教えるのって何だか大変そう…!
どのようなレッスン内容なのか、また普段のお仕事について教えていただきました。

食に対して健全なバランス感覚を持つ

hueand…キッズ食育トレーナーって日本では数多くのトレーナーさんがいらっしゃるのでしょうか?

玉田さん…いえ、同じように活動できるトレーナーはまだ数十名しかおりません。

hueand…主な活動内容を教えていただけますか?

玉田さん…レシピ開発や料理教室などをメインに活動をしています。特に毎年6月は食育月間なので、メーカー様や自治体様からのご依頼で、料理教室やセミナーなども多く受け持つことがあります。

hueand…食育月間というのがあるのですね。
玉田さん…はい。食育月間は国や地方公共団体などが協力して食育の一層の浸透を図ることを目的に設けられたものです。

hueand…他にも、ママのための料理セミナーなどもされているのですよね?

玉田さん…子ども専門の料理教室「青空キッチン」や、お母さまや大人を対象にしたセミナーを主宰しています。

hueand…いろいろな活動をされているのですね。「青空キッチン」の対象年齢はいくつぐらいなのですか?

玉田さん…三歳から小学生が対象です。

hueand…子どものお料理教室、素敵ですね。なぜ、「青空キッチン」をスタートさせたのですか?

玉田さん…中学生くらいになると、お友だちとファーストフードとかに行くようになったりしますよね。それが悪いのではなく、「今日は、ジャンクなものを食べたから家ではいつもより野菜を多めに食べよう!」など、子ども自ら食に対する健全なバランス感覚を身につけてほしいと思ったからです。

hueand…確かに、好きなもの(ジャンクフードやお菓子)ばかりを食べている未成年の話を聞くこともあります。そればかりだと親目線ではとても心配になりますよね。少しでも野菜を食べてほしいと思う気持ちはあっても、なかなか難しかったり…。それを子ども自身でできるようになるのは、とてもいいことだと思います!

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料理を通して、人間力を――

hueand…子ども教室では、キッズ用の包丁などを用意するのですか?

玉田さん…ある程度、切れる包丁を使っています。教室では、包丁の置き方から教えます。「刃先はお友だちに向けないでね」とか。達成感を味わってもらうために、ピーラーなども積極的に使っています。刃物は危ないから使わせないということでは、道具と親しむことができません。年齢に応じた適切なフォローをしながら、料理の楽しさを伝えるようにしています。食は、子どもたちの体をつくり、未来をつくっていきます。料理をすることで段取りも自然と覚えていきますし、料理を通して人間力を高めてほしいのです。

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hueand…“料理で人間力”、とてもいいですね!

経験値からくるネガティブの法則

hueand…大人向けのセミナーは、どのような内容になるのですか?

玉田さん…子どもの“好き嫌い克服セミナー”という感じです。
私の周りにいるお母さまはお子さんの好き嫌いで悩まれている方がとても多かったので、こういうテーマでのセミナーをはじめました。

hueand…実際、緑黄色野菜が苦手という子どもたちは多いですよね。

玉田さん…そうなのです。でも、実は野菜そのものの味が嫌いということだけではなく、思い出とか経験に基づいたものが結構多かったりします。たとえば、その時の料理が、たまたま熱かっただけで、その経験値をネガティブな思い出にしてしまって引きづって食べない、とか。
hueand…そういうことで嫌いになってしまうのですね。

玉田さん…子どもの食欲には、気分やむらもあります。それを料理そのものや調理手法、調理体験によって自然に好きになっていけるようにサポートしていくのが私の仕事です。

hueand…大人向けセミナーでは、そういう工夫も盛り込んでいるということですね?
メニューなども気になります。ぜひ、教えてください~!

子どもに親しんでもらえる献立を紹介

メニュー:えのきたっぷりミートボールのトマト煮込み

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子どもに親しんでもらえるポイント:

この料理のポイントは3つあります。
1)苦手な野菜も切り方を変えることで食べられることがある
子どもが食べないのは、その味が苦手なのではなく、歯に詰まるから、噛みきれないからといった理由のことも多いのです。えのきもそういう食材になりやすい。そのため、短く切って食べやすくすると食べてくれることがあります。
また、刻んだえのきをひき肉に混ぜ込むことで、結果的に玉ねぎのみじん切りを加える必要もなく、目にしみることもないのでママにもうれしい(笑)

2)パサパサした肉が苦手なお子様にも食べやすい
えのきをたっぷり混ぜ込むことで、ミートボールがふわっとやわらかい食感に仕上がる点と、トマトソースにつけながら食べられる点がさらにパサパサ軽減につながります。

3)調理が手軽で時短
トマトソースに直接ミートボールを入れて煮込むので、フライパン1つで手軽に作っていただけます。後片付けもラクですし、時短にもつながります。

メニュー:野菜の甘酢漬け

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子どもに親しんでもらえるポイント:

野菜は、さっと炒めることで青臭さが軽減されて、子どもでも食べやすくなります。子どもが苦手な茗荷(みょうが)などの薬味をあえて加えて、さまざまな食材と触れ合う機会を作っています。味付けは、熱いフライパンに調味料を合わせるだけ。溶かす手間もなくなり、冷める段階で味がしみていくので時短調理になります。


このレシピのおすすめは、他にもあります!
・冷ましたり、保存する際はキッチン用のファスナー式の保存袋を使うと少ない調味料でも作れます。
・じっくり蒸し焼きした長ねぎはとても甘くなります。
我が家の子どもたちにも大人気です。
・にんじん、大根は子どもと型抜きしてから調理しても楽しいです。
さらに食欲がアップするかも!

メニュー:ブロッコリーのお浸し

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子どもに親しんでもらえるポイント:

野菜を美味しく食べてもらうには旨みを利用するのがコツです。こちらはめんつゆの出汁の旨みを利用します。しっかり旨みをしみこませたブロッコリーは青臭さが軽減し食べやすいです。硬めにゆでて、思わず手でポリポリ食べたくなる食感に仕上げるのもポイント。ブロッコリーが苦手なお子さまも、話を聞くと茎の部分なら食べられる(または、その逆もあります)場合もあるので、その時は茎だけを使うのもありです。マヨネーズをたっぷりつけたものより断然食べやすいので1度お試しいただきたいです。ごま油をかけてナムル風にするのもおすすめです。

メニュー:ブロッコリーのお浸しと卵の味噌マヨサラダ

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子どもに親しんでもらえるポイント:

こちらは、ブロッコリーのお浸しをアレンジしたもの。卵を味噌マヨネーズで混ぜたものを和えれば、さらにボリュームが増して満足感があります。
子どもが好きなゆで卵と合わせることで、手を伸ばしてくれる可能性もアップ!
これを刻んでサンドウィッチにするのもおすすめです。

創造力を養うお菓子作り

hueand…たとえば、小さなお子さんで包丁を持つのがまだ不安だなぁという子がいた場合には、どのように対応されているのですか?

玉田さん…子どもが「お手伝いしたい~」と言い出した時に、火や大人用の包丁を使うのは少しハードルが高いですよね。そういう場合には、盛りつけ作業だけでも子どもにやってもらうことがあります。例えば、お菓子作りなら、フルーツを切っておいて子どもにトッピングしてもらうとか。それだけでも創造力を働かせてとても楽しんでくれます。

メニュー:オレンジのレアチーズケーキ

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子どもに親しんでもらえるポイント:

クリームチーズとヨーグルトで作るレアチーズケーキで、ほぼ混ぜるだけの簡単スイーツです。オレンジは、いろいろな形に切っておいて、子どもたちに飾ってもらいます。オレンジの形や入れ方によって出来上がりが違うので、創造力を働かせる作業が楽しいです。
このレシピなら混ぜる作業を子どもに任せることもできます。工作のように、材料を組み立てて、大人が思いもつかない飾りつけをしてくれることも!

hueand…わぁ~、本当ですね! 子どもだけではなく、大人でもワクワクしてしまいます(笑)。もっと子どもも大人も楽しめるレシピを教えていただきたいところですが、またお会いできる日を楽しみにしています。玉田悦子さんへのお仕事依頼は、hueまでお問い合わせを!

<今回ご協力頂いた食のクリエイター>
pro.jpg玉田悦子/料理家、キッズ食育トレーナー。
食品メーカーにてマーケティング及び開発に携わった後、料理家として独立。
企業様むけのレシピ開発、商品企画開発、コラム執筆、料理教室等、幅広く活動している。
子供たちに様々な食材と触れ合ってほしい、という思いから食育活動にも力をいれ、子供のための食育スクール「青空キッチン 市川」を定期開講中。
「食卓を囲む全員にとって食事の時間がもっと楽しいものになりますように!」をモットーに、食事を作る人も食べる人も嬉しいレシピを提案している。

kawagoe.jpg川越晃子/たべものライター&編集

出版社勤務後、フリーランスへ。食の取材を中心とした本の企画・構成をはじめ、レシピ作成やスタイリングを含めたトータルコーディネートなどを手掛けている。“食べるものによって、人の体も心も育まれる”という考えをモットーに、食べ物の裏側にある環境や農業、栄養学にも関心が高い。著書に、日本の食文化をまとめた『おにぎり』、『まるベジ・ドリンク』共にグラフィック社刊などがある。現在、フードスタイリスト、料理カメラマンとの女性3人のフードユニット「Soup Caravan」を結成中。

今回作ったレシピはこちら(@hueand_and)

玉田さんへのお仕事の依頼はこちらまで(→hue_and@hue-hue.com)
依頼可能内容:キッズ向けレシピ開発・商品開発・撮影調理・講師 など

著者プロフィール

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hue and.(ヒュー アンド)
「and.」とは、食にまつわる分野に特化して活躍されている方々をまとめたネットワークの総称です。
食にまつわる問題・課題をお聞かせください。「and.」の中から最適な人材をコーディネートして皆様の食の課題を解決するお手伝いをしていきます。管理栄養士をはじめ、料理研究家、お菓子研究家、フードコーディネーターなど様々な分野のプロが承ります。

http://hue-hue.com/service.html#hueand
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