2016年 パンのトレンドは“シェフたちのサンドイッチ”!

食の月刊誌『料理通信』(毎月6日発売)は2006年に創刊し、プロの料理人や食をより深く楽しみたい人を対象に、パン、スイーツ、肉、惣菜、ワイン、つまみ、店づくりなど多彩な切り口で旬の食情報を発信しています。食を仕事にしている読者も多いことから、“今”ブームになっていることはもちろん、“これから”ブームになりそうなテーマにも注目しています。

毎年、必ず特集を組む企画の1つに「パン特集」があります。パン作りを趣味にしている人や、おいしいパン屋さんを探し求めるマニア層が厚く、作り手(プロ、アマ含む)からも食べ手からもニーズが高いのが理由です。各地で開催されている「パンフェス」では開場前から数百メートルの行列ができ、入場制限がかけられるほどのにぎわい。パンフェスの過熱ぶりからもパン人気を窺い知ることができます。

2016年のトレンド シェフたちのサンドイッチ

では、こんなにもパンが人気のいま、わたしたちが取り上げるべきテーマは何か? 編集部がリサーチを重ねて見つけた2016年のキーワードは “シェフたちのサンドイッチ”でした

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「腕利きのシェフたちが、カフェやバールをオープンさせて、サンドイッチやバーガーを提供し始めています。とびきりの腕前をカジュアルに、普段の暮らしの中で満喫してもらおう。シェフたちのサンドイッチやバーガーには、そんな思いが詰まっています」(『料理通信』2016年5月号「パン作りから始める! バーガー&サンドイッチ」より)

料理人の創意工夫と技が、そのサンドイッチには挟まれている

「“自家製ハムとカマンベールのサンドイッチ”の記事が良かった。とてもおいしそうです」
「パン・ド・カンパーニュがおいしそうなのでぜひ作ってみたいです」
―― 読者ハガキより ――

 パン特集の最初にご登場いただいたのは東京・代々木公園『パス』。2016年12月にオープンしたビストロで、店で焼き上げたカンパーニュで自家製ハムのサンドイッチを作ってくれます。料理を担当するのは原太一シェフ。渋谷のビストロ『ロジウラ』の店主でもあります。パンを担当するのはパティシエの後藤裕一シェフ。サンドイッチを作るにあたって試作を二人で繰り返したそうです。

 パンは焼くのか焼かないのか? ハムはどう仕上げるか? ハムと何を組み合わせるか? チーズの切り方は? バターの使い方は? テイクアウトしてもおいしく食べられるか? etc.

 その結果、パンは軽く炙ってこんがりと、チーズはラフにランダムに、ハムは薄く切ってふんわり盛って……と、パーツや組み立て方の一つひとつが、食べた時の味わいを考えて作られていました。

 “自家製ハムとカマンベールのサンドイッチ”には、料理人ならではのとびきりの腕前が詰まっていたのです。

トレンドアイテム“スライダー”が料理人の手にかかると

いま世界的に流行中のトレンドアイテムに「スライダー」があります。スライダーとは、いわゆるミニバーガーのこと。パーティーなどで目にする機会も多く、小さなバーガーがズラリと並ぶ様はビジュアル的なインパクトも大きい。思わず撮影したくなるアイテムでもあります。

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スライダーのレシピを教わったのは東京・東中野のガストロパブ『ビスポーク』の野々下レイさん。作ってくれたのは「スモーキーBBQスライダー」です。“普通”を目指したというバンズは素朴で歯切れがよく、具には燻製をかけてからじっくり煮込んだ豚肉をたっぷり挟んであります。
ミニバーガーと聞くと、手軽につまめるファストフード的なものをイメージしますが、厚いバンズにとろりと煮詰めた肉がみっちりと挟まったスライダーに感じたのは、特別な“ごちそう感”でした。

花束のようなビジュアルに注目!
見ているだけで楽しいショーケース

 「ほら見て、ショーケースがこんなに素敵なのよ。お花畑みたいでしょう?」

 締切前のある日、コピー機の前で編集長が見せてくれたのはストックホルム『グリーンラビット』の写真をプリントアウトしたものでした。『グリーンラビット』は北欧伝統のライ麦パンの良さを見直してもらいたいと、スウェーデンを代表する料理人、マティアス・ダ―ルグレン氏が2014年に開いたライ麦ベーカリーです。

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同じく読者の方からは「ショーケースを見るのが楽しみ」「見ているだけで楽しい」との声。
花束のようなビジュアルはいつまでも眺めていられそうなほど美しいのですが、注目すべきはその味わい。手掛けているのが二ツ星のシェフですから、おいしさの工夫があちこちに散りばめられていました。

ラフな中に、細部まで緻密に計算されたおいしさがある

『グリーンラビット』のサンドイッチを紹介する記事の中に、こんな一文があります。「噛む度に万華鏡のようにいろんな味が立ち上り広がって、楽しくおいしい」。酸味や塩気、食感、立体感やメリハリ。口の中でサンドイッチの色々な表情(味)に出会うことができるのだそうです。
そういえば、冒頭の『パス』原シェフの話の中にもこんな言葉がありました。「ひと噛みごとに違う味わいを感じてほしいから、どこを食べても同じ味にはしたくない」と。

カジュアルに、ラフに食べられるのがサンドイッチの魅力だけど、味わいは緻密に計算されている。ひと口目にはひと口目のおいしさが、三口目には三口目の異なるおいしさが、食べ手を飽きず楽しませてくれるのですね。

シェフたちのサンドイッチ=料理人が作るサンドイッチは、どれも独自の工夫やアイデアに満ちていました。話題の新店も続々と登場しています。2016年はシェフたちのサンドイッチから目が離せません。

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『料理通信』2016年5月号「パン作りから始める! バーガー&サンドイッチ」はこちらから

著者プロフィール

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浅井裕喜
株式会社 料理通信社。雑誌『料理通信』の販売&広報を担当。料理通信が運用するfacebookページ(ファン数12万人)、やツイッター(フォロワー2万5千人)などSNSの中の人で、ニックネームは読者が名付けた「腹ペコA」。SNSを通じて読者とのコミュニケーションを図る。
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