【食トレンド】アジアのつまみとおかずに注目! キーワードは“酒場化”です。

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食の月刊誌『料理通信』から、いまチェックしておきたい注目の食トレンドをお届けします。

フォー、担々麺、トムヤムクン、海南鶏飯など単品メニューで広まってきた日本のアジアごはんに、ここ数年、変化が起きています。バル的飲食スタイルが定着したことで、飲みながらつまめる“おかず”メニューがじわじわと増えてきました。食べるのが主体だったアジア料理のお店が“酒場化”してきているという現象です。今回はアジアのおかず&つまみに着目。“酒場化”をキーワードに、時代の気分を的確に捉えている人気店から新潮流を紹介します。

●「フォーやめます」人気ベトナム料理店から届いた1枚のハガキ。

「フォーやめます」

江古田のベトナム料理店『マイマイ』の足立由美子さんから一通の葉書が届いたのは、今年2月のこと。そこには、「酒とつまんでもよし、ごはんと食べてもよしの、おいしいベトナムおかずをもっともっと追求します」と書かれていました。photo_02_B.JPG
屋台やビアホールに並ぶ甘辛いおかずたちは、ごはんはもちろんのこと、無条件にお酒にも合う味わいです。ベトナムを代表する料理の1つであるフォーをあえてメニューから外したことで、酒場感がぐんと増しました。

●中国料理界にも“酒場化”の波が押し寄せている

 酒場化の波は中国料理界にも押し寄せています。中国料理はこれまで、レストランか、ラーメン&餃子の食堂など「食べ」メインのお店が多く、「呑んでつまめる」店が少なかったところ、酒場的に使えるお店が急速に増えてきました。
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東京・牛込神楽坂『十六公厘(ジュウロクミリ)』は “中華を肴に酒を飲みたい人”に応えたいと、店主の佐藤洋さんが開いたお店。2~3人で取り分けるのに丁度よいポーションで、かつ、酒飲みのツボをついたメリハリのある味が特徴です。

 レストランには頻繁に行けなくても、酒場なら週2回、3回と足を運べる。お腹が空いている時も、軽くつまみたい時も、時間に制約があっても楽しめる。店が酒場化すると、つい寄りたくなり、つい食べたくなって、つい飲みたくもなります。この“つい”を促すのも酒場化の空気だと言えそうです。 

●新世代中華の店で見つけた“酒場化”のスタイル

 では、酒場化とは、具体的にどのような形に表れているのでしょうか? 新世代中華の店からいくつかの例をご紹介しましょう。

 【料理】つまみ的なポーションの小皿料理を、3ケタ価格で提供
→ 小ポーション、低価格によって、皿数を重ねられるようになりました。ちょっとずついろいろ食べたい、という欲求を満たしてくれます。

 【料理】調味料や肉加工品、豆腐などを自家製する
→ 作り手の見えるワインやビールがトレンドであるように、自分の味を追求した“自家製”が人々を魅了します。調味料や肉加工品など、手間と時間が作り出す自家製アイテムは近年ますます増えています。

 【酒】自家製サングリア、自然派ワイン、ハイボールなど、合わせる酒が多彩
→ アジアの酒に限定しないことで、酒とつまみの距離がぐっと縮まりました。

 【空間】一人でも居心地がよいカウンター席や、周囲が気にならない暗めの照明→ 「気兼ねなくどうぞ」という店側のスタンスが空間にも表現されています。

 ●時代をリードする店の黒板に、アジアのつまみを発見

 アジア料理の店で、ジャンルに縛られない酒を楽しめるようになった一方で、自然派ワイン、クラフトビール、日本酒を主軸にする店で、きらりとセンスの光るアジアのつまみを見つけるようにもなりました。
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東京・吉祥寺『クラフトビアマーケット』の料理は表参道『琉球チャイニーズTAMA』が監修しています。ゆるゆるつまめる沖縄&中華つまみが、ゆったり味わうクラフトビールの世界観を受け止めて、それぞれの強みを引き上げています。 

自然派ワイン好きに絶大な人気を誇る『アヒルストア』のメニューにスリランカの豆コロッケ「ワデ」があったり、厳選した日本酒を造り手やヴィンテージ違いで揃える『sakeria 酒坊主』のつまみに「タイの発酵ソーセージ」が登場していたり。アジアのつまみが違和感なく寄り添っています。

 中華にワインを合わせる、ベトナムのおかずでクラフトビールを飲む、タイのつまみで日本酒を楽しむ。酒場化によってアジア料理のつまみ度が高まり、ジャンルの垣根を越えて私たちの日常にスルリと入り込んできました。 “酒場化”は、飲む楽しみも食べる楽しみも広げてくれる、食の世界のトレンドです。

 ●アジアのつまみは家呑みにも使える!

 いくつかの調味料を揃えれば、普段の炒めものや煮物が一気にアジアのおかずに変化することがわかったのも「いいつまみ、いいおかず<アジア編>」特集でした。自宅でチャレンジした方も多く、facebookやインスタグラムに続々と作った料理がアップされ、アジアのおかず&つまみは家呑みにも使える! ということを、読者の皆さんが明らかにしてくれました。

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【食のトレンド】vol.12016年パンのトレンドは“シェフたちのサンドイッチ” 記事はこちら

『料理通信』2016年6月号「いいつまみ、いいおかず<アジア編>」

著者プロフィール

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浅井裕喜
株式会社 料理通信社。雑誌『料理通信』の販売&広報を担当。料理通信が運用するfacebookページ(ファン数12万人)、やツイッター(フォロワー2万5千人)などSNSの中の人で、ニックネームは読者が名付けた「腹ペコA」。SNSを通じて読者とのコミュニケーションを図る。
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