復興の先へ『三陸国際ガストロノミー会議2019』イベントレポート

2019年6月10日・11日、『三陸国際ガストロノミー会議2019』が開催されました。
会場となったのは、岩手県宮古市にある宮古市民文化会館。
東日本大震災津波発災後に国内外から寄せられた多くの支援に感謝の意を表し、ガストロノミー(美食術・食文化)の視点から岩手・三陸の魅力、豊かな食材や食文化等を発信する機会として、世界のシェフ・国内シェフと生産者、食のスペシャリスト達が一堂に会しました。

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三陸の魅力を発信だけじゃない、会議の目的とは?

今回のイベントの構成は以下の通りです。

・三陸と世界をつなぐ食のキャラバン
・三陸国際ガストロノミー会議2019
・交流会
・三陸美食サロン

まずは、国内外の著名シェフが岩手・三陸の漁場や生産地を視察し、地元漁業者や学生等と交流を行います。
そして生産地を訪問して再発見した、食の豊かさや魅力を国際会議の場で発信。
さらにその豊かな恵みと国際会議参加シェフの料理を楽しむ交流会が催されます。

イベントのテーマは復興ではありません。
そこから一歩進んで世界三大漁場の一つである三陸の魅力を可視化したい、また三陸だけではなく今世界で起こっている「食」にまつわる危機について問題提起したいという想いのもと、会議は開かれました。

ガストロノミーの視点から見えてきた進むべき道

会議では、『ルレ・エ・シャトー』副会長オリヴィエ・ローランジェ氏はじめ海外有名シェフ、岩手『ロレオール田野畑』伊藤勝康氏など地元のシェフ、東京・麻布『レフェルヴェソンス』生江史伸氏や東京・神宮前『フロリレージュ』川手寛康氏など国内有名シェフ、コラムニストの中村孝則氏や『料理通信』編集主幹の君島佐和子氏など、国内外から集結した食のプロフェッショナルが登壇。
さらに地元のシェフや生産者も加わり、クロストークセッションが行われました。
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▲奥田政行氏(山形)/アル・ケッチャーノ、伊藤勝康氏(岩手)/ロレール田野畑 

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▲伊藤勝康氏(岩手)/ロレール田野畑、深谷宏治氏(北海道)/レストラン・バスク/「三陸、そして函館 国際会議開催に込めた想い」

オープニングトークとして地元のシェフ伊藤氏は、これからは三陸の食材の多様性だけではなく、そこに生活する人たちの文化も発信したい、またこういう会議を通して料理人はおいしいものを作ることだけではなく、環境や未来につながるものを作っているということを考えていかなければならないと伝えました。

三陸と世界をつなぐ食のキャラバンを通して三陸の豊かな海の幸と山の幸、そしてそこに生きる人たちの力強さに感銘を受けたオリヴィエ氏は、若い人たちに向けてぜひこの地域の魅力を伝える担い手になってほしいとメッセージを伝えました。
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▲Mr.Olivier Roellinge(フランス)/Maisons de Bricourt/「私たちの食料庫である海を守る」

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▲岩佐十良氏/『自遊人 』 編集長 /「ローカル・ガストロノミーの可能性」

また、料理人に向けては、海洋資源の枯渇など様々な環境問題に直面している今、世界の多様な生態を未来に残すことを考えて食材を選ぶ、あるいは新しい食材に価値を見出すといった、これから先、人類の「食」を守るための料理人の使命について語りました。
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▲後藤友明先生/岩手大学三陸海洋研究センター/「世界三大漁場三陸、再発見」

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▲石川豊先生/博士(農学・東北大学)/「岩手の食用海藻・わかめ」

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▲三陸の生産者さん、漁業関係者さん、岩佐十良氏(『自遊人 』 編集長 )
金子太一氏/カネシメ水産、山崎宗谷氏/重茂漁業協同組合、佐々木淳氏/綾里漁業協同組合
「クロストークセッション・三陸の海に生きる」

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▲川手寛康氏(東京)/フロリレージュ/「セカンド・ギフト」

世界のシェフが三陸の宝に出会った!

懇親会が開催されたのは、浄土ヶ浜パークホテル。
参加者は、会議登壇者や料理人、専門家、マスコミ、一般の方で、岩手の農林水産物や加工品を使った料理が立食・ビュッフェスタイルで提供されました。
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料理は地元のシェフが中心となり、新鮮な魚介類を使った刺身や郷土料理が振舞われました。
また、会議に登壇されたスペイン・サンチャゴ『a Tafona de Lucia Freitas』ルシア・フレイタス氏やフランス・パリ『BOTANIQUE』山口杉朗氏による、三陸の食材の新たな魅力を引き出した各国料理も登場!
夢のような饗宴に会場は大盛況です。
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国際会議の役割を考える

2日目も盛りだくさんのプログラムです。

最先端の台北ビストロノミー「MUME」シェフ・リッチー・リン氏、パリで活躍する「BOTANIQUE」(フランス・パリ)シェフ・山口杉朗氏、「レフェルヴェソンス」(東京・麻布)シェフ・生江史伸氏、スペイン・ガリシア地方出身で故郷サンチャゴにて「a Tafona de Lucia Freitas」を開き2019年スペインミシュラン一つ星を獲得したルシア・フレイタス氏の順番で登壇され、一流シェフのこだわりや素材、環境に対する熱い想いをお話しされました。
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▲Mr.Rich Ard(台湾)/MUME/「独自のアイデンティティの追求」

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▲山口杉朗氏(フランス)/Botanique/「日本人として、パリから見た岩手」

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▲生江史伸氏(東京)/レフェルヴェソンス/「Dashi Journey」

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▲Ms.Lucia Freitas Rodriguez(スペイン)/A Tafona by Lucía Freitas/「大西洋のガストロノミー、岩手とガリシアの絆」

後半は「世界のベストレストラン50」チェアマンも務める中村孝則氏の講演からスタート。
次に地元の岩手県立宮古水産高等学校食物科の3人から、「未来を育む、宮古水産の取り組み」と題してのプレゼンがありました。

最後はナビゲーターに『料理通信』編集主幹・君島佐和子氏を迎え、地元のシェフと震災後の取り組みや三陸の食材に対しての視点の変化などのテーマについてトークセッションが行われました。
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▲中村孝則氏/コラムニスト/「人は食べるために旅をする」

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▲岩手県立宮古水産高等学校食物科の皆さん/「未来を育む、宮古水産高校の取り組み」

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▲岩手のシェフの皆さん、君島佐和子氏(『料理通信』編集主幹)
福士雅巳氏(盛岡)/ウサギボタニカ、鹿澤靖幸牛氏(盛岡)/リストランテシカザワ、宮川徹氏(釜石)/和の膳宮川、山崎純氏(山田)/和海味処いっぷく
「クロストークセッション・明日につなぐ、三陸ガストロノミー」

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そして最後に出演者の皆さんや関係者の皆さんが登壇し、全員で大会宣言として「美味(うんめ)ぇがすと三陸宣言」を行い2日間のプログラムを終了しました。

今回のイベントの間に感じられたのは、“食”の力。
この国境や人種を越えた地球単位の動きは、未来へとつながっていきます。

INFO:
『三陸美食サロン』が開催中!
国内外の著名なシェフと岩手のシェフとのコラボレーションにより、岩手の食材を使って創作した料理を岩手沿岸部の13市町村のレストランで提供します。
シェフのコラボレーションによるフュージョンディナーやランチをこの機会にぜひ。
詳細はこちら

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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