料理通信社主催「‟食×SDGs” Conference-Beyond Sustainability- #1」イベントレポート

料理通信社主催「‟食×SDGs” Conference-Beyond Sustainability- #1」イベントレポート

2019年11月27日、食の専門メディア・料理通信社が「食×SDGs」をテーマに初めてのカンファレンスを開催しました。
料理通信社ではこれまで、食を取り巻く様々な問題を身近な課題として捉え、SDGsをテーマにWebサイト『The Cuisine Press』と雑誌『料理通信』 を通じて、解決への一歩に地道に取り組む事例を紹介しています。

SDGsとは?

ここ数年様々なメディアで取り上げられるようになったSDGs。
これは、2015年9月に国連サミットで採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。
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今回行われたカンファレンスの目的は、地球規模の社会課題に取り組むチャレンジやアイデアを共有しながら、持続可能な社会について考え、気づきを得ること。
そのためのトークセッションやワークショップなど様々なプログラムが用意されました。

料理人、生産者、食べ手、それぞれの立場から食の現状を考える

トークセッションでは、様々な角度から環境問題に取り組む方や、自然と向き合ってその恵みを料理するシェフによって、これから人間は自然とどう向き合っていくべきかについての課題が提起されました。
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▲『kurkku』代表/音楽プロデューサー・小林武史氏と『villa aida(ヴィラ アイーダ)』オーナーシェフ・小林寛司氏

音楽プロデューサーとして名高い小林武史さんは9.11をきっかけに、環境プロジェクトに融資するNPO法人ap bankの設立に始まり、長きにわたり持続可能な社会のための活動を続けていらっしゃいます。そして2019年秋にサステナブルファーム&パーク『KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)』を設立。これからの時代のオーガニックな消費や暮らしの在り方を提案されています。
『villa aida』は和歌山県にある豊かな自然に囲まれたレストラン。小林寛司シェフは隣接する畑で、年間100種類以上の野菜を育て、それぞれの成長の度合いやサイズを見極め、野菜の持つ可能性を素材同士の組み合わせで無限大に引き出しています。
トークセッションで語られたのは、「食と農のつながり、これからの人と社会の豊かさ」について。
人間が自然の中で生かされているということを感性の部分で共感し合うことの大切さについても話し合われました。
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▲『料理通信』編集主幹・君島佐和子 ガストロノミーの再定義

君島さんは、「ガストロノミー」という言葉の意味が「美食学、美食術」から「より良き食べ方の探求」へと変化している状況を解説。「より良き食べ方の探求」の具体的な事例を挙げつつ、背景にあるのが、ガストロノミーを推進力として社会の変革を起こそうとする世界的な動きであることを説明しました。
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▲『パタゴニア日本支社』近藤勝宏氏


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▲『OGINO organic Restaurant』オーナーシェフ・荻野伸也氏

アウトドアウェアブランドとして有名な『パタゴニア』ですが、実は食の分野にも力を入れており、オーガニックで環境負荷の少ない、持続可能な農業や調達方法を支援する食品の販売を行っています。
近藤勝宏さんは同社の食品部門である『パタゴニア プロビジョンズ』を担当し、環境問題に取り組み、生産者を支援しています。
『OGINO organic Restaurant』の荻野伸也シェフは日々食材と向き合う中で料理人としての責任について考えるようになり、「環境と農家、そして食べ手であるお客様にとってより良い食環境サイクルを提案できるレストラン」を目指しています。
「食の流れを修復する ―自然との調和のなかで―」をテーマに、それぞれが肌で感じる環境の変化と、それに対する向き合い方について話し合われました。
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▲ランチタイムには、荻野シェフが『KURKKU FIELDS』で育った野菜や卵、『パタゴニア プロビジョンズ』の食材を活用した、この日だけのスペシャルなランチボックスが登場! また、本場イタリアで修行を重ねてきた『KURKKU FIELDS』のチーズ職人・竹島英俊さんによる水牛のモッツァレラチーズも振る舞われました。

身体の内側から宇宙へと広がるSDGs

今回のカンファレンスでは、医療や宇宙の観点からも講演やトークセッションが行われました。
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▲北里研究所病院 糖尿病センター長・山田悟医師

山田悟医師は、「ロカボ=緩やかな糖質制限食」を提唱されています。
生活習慣病をはじめ、ガン、心臓病、脳卒中にもつながる血糖値異常を改善するロカボによって、おいしく楽しく続けられる予防医学を紹介しました。
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▲慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授・神武直彦氏


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▲国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)J-SPARC プロデューサー/Space Food X副代表・菊池優太氏

宇宙および地球上における食料の生産・供給に関する課題解決ならびにそれに伴うマーケットの早期創出を目指しているのが、「Space Food X(スペースフードエックス)」というプログラムです。
現在地球上で起こっている食料問題と、近い将来実現されるであろう長期の宇宙生活をサステナブルに行うための食料確保の問題。
こうした地球と宇宙で共通する問題をSDGsの観点から考えました。

今日からSDGsを実践しよう!

カンファレンスの終わりに、『Food Hub Project』支配人・真鍋太一さんと料理通信社によるクロージングセッションが行われました。
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▲『Food Hub Project』支配人・真鍋太一氏

『Food Hub Project』は、徳島県神山町で行われている地方創生を目的にしたローカルプロジェクトです。
真鍋さんは地元で作って地元で食べる、「地産地食」をテーマに食堂を作り、生産者や学校など地域の方と連携することで、「小さな食料政策」を行っています。

『料理通信』編集主幹・君島さんはここ数年、 度々SDGsという言葉を耳にするようになったものの、言葉だけが一人歩きしているのではないかという疑問を持つこともあったそうです。
真鍋さんをはじめ、今まで取材をしてきた、資源や環境への配慮のうえに活動する料理人や生産者が目指す方向はSDGsをうたわずとも、SD=持続可能な開発 であることを指摘します。

同社は、SDGs が机上の空論ではなく、こうした地に足のついた活動にとって必要なゴールが描かれたデザインであり、それを食の専門メディアが発信していく必要性を説きました。

カンファレンスを通して、SDGsを身近で待ったなしの問題として捉えた動きがあらゆる分野で起こっており、個人レベルから企業や国家レベルまでそれぞれがやるべきことを具体的に示していかなければならないと感じました。

「食の総合プロデュース会社」であるhueはおいしさを伝えるビジュアル制作をしていく中で、次世代にも持続可能な“おいしい”を提案していきたいと思っています。

おいしく楽しくこの問題に取り組む事は出来ないのか? そんな思いから、今年『The Food Film Festival Tokyo 2020』(以下「FFFT」)を開催します。
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これはニューヨーク発、映像と料理を同時に楽しめるフィルムフェスティバルです。上映作品には食を取り巻く問題を扱った作品もあり、
観客は鑑賞しながら、スクリーンに登場する料理を楽しみ、同時に地球規模で課題となっている食の問題を考えるきっかけにもなります。こうしたフィルムフェスティバルに取り組むことで未来につなげていきたい“おいしい”をhueからも発信していきたいと思っています。

『The Food Film Festival Tokyo 2020』
期間:2020年4月17日(金)~19日(日)
場所:B&C HALL /東京都品川区東品川2-1-3)
詳細はこちら

FFFTの詳細については、次回より連載が始まります。
どうぞお楽しみに!

著者プロフィール

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シズル撮影専門のクリエイターチーム・ヒュー
ヒューは食の撮影に特化したフォトグラファーが多数在籍しています。スチール撮影からパッケージ撮影、動画などシズル感のある表現で「おいしい」が伝わるビジュアルをご提案していきます。
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