ターニングポイントとなったレシピ本から10年、『LIFE』オーナーシェフ相場正一郎さんインタビュー

東京・代々木八幡にオープンして14年。カジュアルイタリアン『LIFE』は、
地元に愛され、遠方から訪れるお客さんもいる人気店。
現在では全国に4店舗の『LIFE』を運営するオーナーシェフの相場正一郎さんは、料理以外にも、オリジナルプロダクトや雑誌・書籍の制作など、クリエイターとしても多方面で情報発信をされています。
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今から10年前にhueフォトグラファー近藤泰夫と共同で出版したレシピ本『DELICIOUS LIFE OF THE BOOK OF ITALIAN COOKING(デリシャス ライフ オブ イタリアン クッキング)がひとつのターニングポイントだったと語る相場さん。今回は、『LIFE』を軸に相場さんが手がけてきた店づくりについて。
そして今後挑戦していきたい事についてお聞きしました。

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▲レシピ本『DELICIOUS LIFE OF THE BOOK OF ITALIAN COOKING
(デリシャス ライフ オブ イタリアン クッキング)

等身大の目線で、
手の届くセンスのよさを日常に

相場さん(以下敬称略) 僕が料理人になろうとしたのは、イタメシブームがきっかけです。18歳のとき修行のためイタリアに渡り、帰ってきたらバブルが終わって、カフェブームというか、地域に馴染む小さい店が点在し始めていました。それで、音楽好きや家具好きのオーナーがやっているような、料理はおいしいけどコンセプトが食以外にある店作りに興味を持ちました。

帰国後3年間は、東京・原宿のイタリアンレストランで働いていましたが、当時25歳の僕らは、特別なことでもなければレストランで食事することはありません。そこで、自分たちの世代でも毎日通えるような「カフェ卒業生、レストラン入学生」ぐらいの、料理に満足できるカジュアルな店をやろうと思って『LIFE』をオープンしました。28歳のときです。

『LIFE』という名前は、毎日の生活が重なって人生になっていくというのもあるし、もう一つの意味合いとして、みなさんの生活に溶け込みたいという思いがあります。店をオープンした頃は、イタリア語の店名が主流でしたが、そこから一線を引くという意味で英語の『LIFE』にしました。

『LIFE』というブランドを
好きになってもらう仕掛け

相場:せっかくお店にお客さんが来てくれるのだから、
料理を食べておいしいというのは当然ですが、
それ以外にも『LIFE』の何かを持ち帰ってもらいたいと思っています。

音楽が心地よいと感じたら、そのアルバムの名前をメモして帰るとか。
代々木公園エリアのフリーペーパー『PARK LIFE』を作って
地域の新しいお店を知ってもらおうとか。店の雰囲気を気に入ってくれた
お客さんに、家に帰っても『LIFE』の余韻を楽しんでもらえるように、
テーブルまわりのオリジナルプロダクトの製作・販売も始めました。

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 ▲オリジナルプロダクト販売の他、料理教室やワークショップなどイベントも多数開催

街に愛されるテーマを軸にした店づくり

相場:2012年、東京・参宮橋にオープンした『LIFE son』は、「Mountain Dish」がテーマ。ヨーロッパの山の料理を意識しています。
オープンと同時にパン職人の樽井勇人さんをお誘いして、一つの物件をシェアする共同店舗というかたちで、『TARUI BAKERY』もオープンしました。
2014年、神奈川・藤沢の湘南T-SITEにオープンした『LIFE sea』は、文字通り「海」。「FOOD FOR ADVENTURE」をテーマに、気持ちいい風が通り植物に覆われた広いテラスを作りました。藤沢は地域柄としてサーフィンやアウトドアが好きな人が多くて、寒いときでも、わざわざ外で食べることにこだわっているお客さんも多いですね。

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 ▲「Mountain Dish」がテーマの『LIFE son』にはアウトドアを想起させるグッズも

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 ▲「FOOD FOR ADVENTURE」がテーマの『LIFE sea』。テラスにはグリーンがたくさん


クリエイターの視点からも、
ライフスタイルを発信

相場:今から10年前に、スタジオ撮影で知り合ったhueのカメラマン、近藤泰夫さんと意気投合してレシピ本を自費出版しました。ちょうど、1号店をオープンして5年目ぐらいのとき、レシピ本を出したいという思いがあった事と、お互いにこれからもっと面白い仕事がしたいという時期だったので、
自分たちの個性や世界観を打ち出した作品集を作ろうと。

「絵本のようなレシピブック」をテーマに『DELICIOUS LIFE OF THE BOOK OF ITALIAN COOKING(デリシャス ライフ オブ イタリアン クッキング)を制作しました。この事が、ターニングポイントになりましたね。

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自分たちが「いいな」と思える世界観を作るために、
ブックデザインもイラストレーターも
自分たちの仲間に協力してもらって制作していきました。
当時は、店の営業や、近藤さんの撮影が終わる深夜から集合して、
朝まで話し込むなんて時もありました。

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相場:『DELICIOUS LIFE~』から約10年、
そして来年2018年は「LIFE」の15周年なので、その節目に本をと思っていて、現在制作に向けて話を進めています。それに、その先は小さな店をやるんじゃないかな。直営の地域密着店。けれど、意図的にこうしたいというものはなく、偶然から生まれることをやっていこうと思います。

時代がまわれば、自分たちのスタイルが、そこにフィットする時期もあるし、
ズレる時期もあります。でも、努力して合わせようとしなくても、
またフィットするときがくることが、
一つのことを長くやる醍醐味だと感じています。

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 ▲現在も、作品撮影や仕事を通して定期的に撮影を続けている相場さんと近藤さん。

現在、二人が制作しているウェブコンテンツ『20MINUTES PASUTA』
「忙しい時に20分で作れるパスタ料理」というテーマでレシピを紹介しています。
(レシピ・相場正一郎、撮影・近藤泰夫
『Milk Japon』ウェブにて好評連載中。

プロフィール
相場 正一郎|shoichiro aiba 「LIFE」オーナーシェフ。
1975年、栃木県生まれ。18歳で単身イタリアにで料理修行。帰国後、原宿のレストラン勤務を経て、2003年に代々木八幡にイタリアンレストラン「LIFE」をオープン。2012年に参宮橋にTARUI BAKERYとともに姉妹店「LIFE son」を、2014年には藤沢市辻堂の湘南T-SITE内に「LIFE sea」をオープンさせる。レシピ本の出版、フリーペーパーの発行、プロダクトの製作、イベントやワークショップのほか、レストランのプロデュースなど幅広い活動が注目されている。

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著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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