大皿彩子さんプロデュース、みんなで楽しめるヴィーガンのベーカリー『Universal Bakes and Cafe』がニューオープン

大皿彩子さんプロデュース、みんなで楽しめるヴィーガンのベーカリー『Universal Bakes and Cafe』がニューオープン

huerepに所属するフードプランナーの大皿彩子さんが東京・世田谷代田にベーカリー『Universal Bakes and Cafe』をニューオープン!
中目黒『Alaska zwei』に続き、ヴィーガンをコンセプトにしています。
ショーケースを彩るクロワッサンもメロンパンもお総菜パンもすべて植物性の材料だけで作られています。
コロナ禍で暮らしや食について改めて考えた方も多い今、未来に続く大皿さんの店づくりについてお話をうかがいました。

ヴィーガンはみんながハッピーな選択肢

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――この度はオープンおめでとうございます!

『Universal Bakes and Cafe』はどんなお店なんでしょう?

大皿彩子さん(以下敬称略) コンセプトはヴィーガンです。
前回のインタビューでもお話ししたのですが(過去の記事はこちら)、私のヴィーガンとの出会いはベルリンです。
ベルリンの壁崩壊後、世界中のアーティストが集まる多民族多文化なベルリンの飲食店には、たいていヴィーガンメニューがあります。
そしてタバコも楽しみながらお酒で盛り上がる男性グループも、自然にヴィーガンをつまみにしているんです。
理由を聞くと、「たとえ仲間の中に何かの肉を食べられない人がいても、とりあえずヴィーガンにしておけば、誰も嫌な思いをすることもなく、みんなで楽しめるよね?」と。
それってすごくハッピーな考え方だと思ったんです。

――今までヴィーガンに対して抱いていたイメージとは違います!
もっとストイックに健康や地球環境と向き合うものだと思っていました。

大皿 そうなんです!
だからヴィーガン料理と、ヘルシーでストイックな料理は全く違うものと考えています。
何も我慢することなく、思い思いに食べて飲んで楽しめるんです。
たとえ異なる食文化を持っていても、心のバリアを感じることなく、世界中の人たちとおいしく楽しく囲める食卓を作りたいと思い、コンセプトにヴィーガンを選択しました。
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――スタッフの中にヴィーガンの方はいらっしゃるんですか?

大皿 100%ヴィーガンの人はいません。
ただ、みんなヴィーガンについて一生懸命勉強していますし、植物性のものだけでどこの店よりもおいしいものをつくろうという意識を持っています。
でも日本ではヴィーガンのものを食べたけど、あまりおいしくなくてがっかりしたという人も多いのも事実です。

――私も過去にそういう経験があります……。

大皿 その理由は、肉や卵やバターが大好きな人にとってのおいしさを忘れがちだからなんです。
私もスタッフも肉や魚、乳製品を食べることがありますし、そのおいしさを知っているので、そんな私たちが食べておいしい!と思う味こそ、ユニバーサルだと思っています。
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お客さんにとってもスタッフにとっても幸せな店づくり

――今回はなぜベーカリーとカフェという業態を選んだのですか?

大皿 どんなにおいしいレストランでも1ヶ月に1回行ったらすごいリピーターですよね。
それがベーカリーだと毎日行ってもおかしくない。
そのくらいベーカリーは生活の一部です。
私は食は世界中の人に伝わる共通言語だと思っています。
それは料理一品のことではなく、その料理が提供される場でどんなことを見て聞いて感じるかという空間全部で伝えるものです。
『Universal Bakes and Cafe』も誰が食べてもおいしいパンがある空間で、パンを買うつもりじゃなかったけど買いたくなる、買わなくてもスタッフと話したくなるとか、食べ物を使ってコミュニケーションを取れる場所にしていきたいんです。

――暮らしの一部となるようなコミュニケーションの空間を作ること。
そのために店舗づくりでこだわったポイントはありますか?

大皿 まずは対面式にしたこと。
そうすると製法や材料の話、こないだ買ってくれたパンの感想など必ず会話が生まれます。
それによって1個300円のパンの価値が高まるんです。
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そして窯が見えるようにしたこと。
中世ヨーロッパでは修道院に窯があって、村の人はそこで焼くパンと物々交換をするなど、窯のあるところに人が集まるという風景がありました。
つまり窯のある場所は人の行き交う中心点であり、交流ポイントなんです。
そういうものを求める気持ちは時代に関係なく今も人の心にあって、だから窯から生まれる熱を感じさせたかったし、熱をお渡ししたかったんですよね。

それは同時に作り手からお客さんが見えるということにもつながります。
最近の飲食店ではお客さんとface to faceで仕事ができるカウンター形式の店も多く、シェフがお客さんから「おいしかった」「ありがとう」という言葉を直接聞くことができます。
これって飲食の仕事をしている中で、本当に幸せな瞬間です。
そういう風にお客さんから自分を喜ばせてくれるような言葉や笑顔を浴びながらできる仕事ってそんなにないですよね。
だから飲食の仕事は誰もができるものではないし、一生で得る対価がものすごく多い仕事だと思っています。
でもパンやお菓子のお店は食品衛生法の問題でお客さんと厨房にいる人がコミュニケーションを取りにくいつくりの店も多いんです。
こういう対価を売り手だけでなく作り手にも感じてほしくて、お店の設計を工夫しました。
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店にも人格があり役割がある

――この度のコロナ禍で、すでに飲食店を営業していて、さらにもう1店舗オープンさせるにあたって、何を考え、どんな対応をしましたか?

大皿 『Alaska zwei』は東京で自粛要請が出た3月28日からすぐに閉めて、5月30日まで店内営業を休業しました。
その間に考えたことは、店の役割です。
私は飲食店も人間と同じで、それぞれ人格があって生きる役割があると思っています。
『Alaska zwei』の大義は、ヴィーガンを通じて誰もがみんな等しい気持ちで食卓の幸せを享受すること。
たとえこのまま店内営業ができない世界になっても、その大義を達成できる方法を考えました。
そこで3月28日に休業の案内をFacebookで流した3時間後、初めての試みとしてオンラインショップをスタートさせ、ヴィーガンの焼き菓子を全国に発送することにしました。
そうすれば、家族の中に卵や乳アレルギーの人がいても、みんなでお菓子を食べられます。

しばらくしてテイクアウトだけ再開しました。
理由は、休業期間中も店で仕事をしていると地域の人たちが立ち寄って声をかけてくれたりして、みんなから必要とされていることが分かったからです。
だからみんながおうちで食べられる健康的なごはんを提供しようと決めました。
正直な話、スタッフが出勤してテイクアウト用の商品だけを用意することは赤字経営なんです。
でも役割を果たしていくことが店の存在意義であり、スタッフの心の健康にもつながると考えました。

こういう考え方をスタッフのみんなに説明して、出勤するかしないかの判断はそれぞれに任せました。
当然一歩も外に出ない方がいいんじゃないかという葛藤もありましたから。
もちろん来ない子もいたし、自転車で時間をかけて出勤してくれる子もいました。
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『Universal Bakes and Cafe』は5月22日オープンで、緊急事態宣言が解除される直前でしたがパンの販売だけは予定通りスタートしました。
この街で暮らす人たちのために何ができるのか、どうしたら日々の暮らしを少しでも豊かにできるのか。
店としての大義を考えた結果、オープンの延期はしませんでした。

――店の大義を考え、それをお客さんだけでなく、スタッフに対してもきちんと言語化して伝えることでこの危機を乗り越えられたんですね。

大皿 ちなみに私がイメージするこの2店舗の人格は男の子なんです。
男の子って一生の絆があるというか、たとえちょっと喧嘩しても先輩後輩や仲間の関係は大人になっても変わらないじゃないですか。
2店舗にはそういう関係性で成長していってほしいんですよね。
だから店舗を紹介する時に、“兄弟店”と呼んでいます。
今後は2店舗共同のイベントなどさまざまな企画を考えています。
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チームプレイで築き上げる『Universal Bakes and Cafe』

――これから『Universal Bakes and Cafe』をどんな店にしていきたいですか?

大皿 私たちは店を立ち上げるにあたって、私は監督でスタッフは選手というチームだと考えています。
監督は勝つための戦略や戦術を授ける、選手はそれに則ったチームプレイであれば何をしてもいい。
これがうちの店のルールであり、共通認識です。

『Universal Bakes and Cafe』には3つの戦略があります。

その戦略の一つ目は、「サステナブル」。
それは使う食材はもちろん、運営においてもこの店が何十年と続いていくための選択をしていくということです。
今だけ無理して頑張らなければできないことはサステナブルではありません。
常に成長しながら続けていける選択を考えていきます。

二つ目は、「シェアブル」。
それは誰とでも分け合えるということです。
お客さんと一対一ではなくて、その先の周りの人たちを意識したものづくりや接客を目指します。
たとえば買ったパンを家に持って帰ったら、誰かと分け合って食べてくれるかもしれない。
ヴィーガンをコンセプトにした理由はここにもあって、その先にどんな人がいてもみんなで楽しめるように考えています。

三つ目は、「デリシャス」。
それは誰のことも否定せず、誰が食べてもおいしいということです。
おいしい肉をありがたく食べる人も、動物がかわいそうだと食べない人も、健康のためにと乳製品を食べない方も、逆に健康のためにミルクを飲む方もみな、尊い価値観です。
わたしたちは、食に対するどんな考え方も否定しない、ということを決まりにしています。
食に対する考え方を許容しあうことはおいしさを共有することです。
ヴィーガンで誰も否定せず、傷付けず、誰にとってもおいしい商品を作っていくことをこれからも目指していきます。

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今日も朝からあたたかいパンの香りを漂わせる『Universal Bakes and Cafe』
誰でも迎え入れるやさしいおいしさを体験しに、ぜひ足を運んでみてください。

INFO:
2020.5.22 OPEN『Universal Bakes and Cafe』
100%Vegan bread and sustainable food
中目黒『Alaska zwei』兄弟店
住所:〒155-0033 東京都世田谷区代田5-9-15
※小田急線世田谷代田駅より徒歩1分
電話番号:03-6335-4972
営業時間:8:30~18:00
定休日:月・火
URL:https://www.facebook.com/UniversalBakes/

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