【and. people】食ライフのプロにインタビュー 「食のプロって何?」

【and.people】このシリーズはand.で活躍する食のクリエイターたちの“いま”を探るべく、普段の飾らない素顔や仕事内容をのぞいてみました。プロだからこそ知るテクニックや裏事情は、目からウロコ!知って得する情報も盛りだくさんでご紹介していく連載です。
今回、担当してくれたのはフードコーディネーター・料理研究家 の茂庭翠さん。
撮影はフォトグラファー ジョ ヘミ が担当しました。

「おいしく、つながる」/フードコーディネーター・料理研究家 

一番好きなのは、時間をかけた作り込みの撮影だという茂庭さんは、とかく細工が多く難易度が高い撮影もお手のもの。何十時間もかけて撮影向きの“美人の具”を探す、ひたむきさのある方でした。普段のお仕事内容について、お話を聞いてみました。

スパルタ料理人に夢中!

hueand...小学生の時に観た料理番組で料理に目覚めたと伺ったのですが、どのようなテレビ番組だったのですか?

茂庭さん...平野寿将(ひさま)さんの番組です。今まで料理研究家という職業をあまり意識したことはなかったのですが、テレビで一般の料理が苦手な方に料理指導をされているのが印象的でした。特に、スパルタな感じも面白かった(笑)。お店のシェフ以外でも、お料理を仕事にされている方がいるんだ、と料理業界に興味を持ち始めました。

hueand...確かに、寿将さんは子供からみてもインパクトが強かったですよね(笑)。最初にフードコーディネーターの方について学ばれたということですが、どのような現場だったのですか?

茂庭さん...大御所のシズルプランナーでフードコーディネーターの方が仕切る広告撮影でした。40年以上も第一線でご活躍されていて、今でも現役。尊敬すべき方です。

hueand...スタートから一流の現場に入らせてもらえるなんて、ラッキーですよね~!

茂庭さん...そうですね。東京に住んでいたので、すぐに現場に入らせていただける環境があったのかもしれません。その撮影を体験できたことで、広告のお仕事をやっていきたいな、と強く思いました。

pro1.jpg

20代で小料理屋の女将に抜擢

hueand...20代で小料理屋も営んでいたと伺ったのですが、凄いバイタリティですね。きっかけはあったのですか?

茂庭さん...知り合いの女性が、お店を出すので一緒にはじめませんか?と、誘ってくださったのです。その先生のところに通わせていただいたのは、毎日ではなかったので時間があいました。そこで同年代の女友達と、バイトの子を入れて一緒にやることになりました。

hueand...どのようなメニューを出されていたのですか?

茂庭さん...お惣菜から揚げ物など家庭料理が中心ですね。焼き鳥もあったので、居酒屋のようなお品書きです。

hueand...20代の女の子たちが営む小料理屋だなんて、注目されそうですね。

茂庭さん...そうですね。お客様には大変よくしていただきました。2年くらい営業しましたが、きちんと料理の勉強がしたくなりました。ちょうど、東京丸の内で宴会場や高級レストランの某フランス料理教室でアシスタント募集があって、入らせてもらったのです。

hueand...人気店を辞めてしまうのは、もったいない気がしますが、何か違う目標があったのですか?

茂庭さん...私としては、和食と洋食の基礎を学びたかったのです。やはり、広告の仕事を視野に入れていたので、器の中で美しく魅せる”料理の盛り付け”の仕方などをしっかりと身につけたかったというのがありました。3年間は、ほぼ週6で通い続けました。一流の食材に多く触れられたこともありがたかったです。今は独立して4年目になります。

varo.jpg

hueand...独立後は、どのような活動をされていたのですか?

茂庭さん...独立してしばらくは10人以上のフードコーディネーターの方々のもとでアシスタントをしておりました。広告やテレビ、書籍などのお仕事の流れはそこで勉強しました。

hueand...10人以上のアシスタントを経験されるのはいいですよね~。皆さんやり方も個性も違うので、現場でのノウハウもしっかり学べそうですね!

“美味しい”よりも“美しい”と言われる料理を

hueand...どのような仕事を手掛けているときが一番、楽しいですか?

茂庭さん...実は、作るよりも料理をより美しく見せるお仕事の方が好きです。

hueand...スタイリングの方がお好きということですか?

茂庭さん...1つ1つ丁寧に作り込んでいくのが好きなのです。食べる美味しさより、見た目の美味しさの方に興味があります。

hueand...作り込みの撮影は、時間がとてもかかる印象があるのですが、そういうことも含めて好きなのでしょうか。

茂庭さん...はい。以前、ムービーの撮影で丸一日かかったこともありましたが、そういう撮影も終わった後の達成感が好きですね。

hueand...24時間ですか??私だったら、集中力とか完全になくなりそうです(笑)。

茂庭さん...例えば、クライアントさんから細かいオーダーがあっても、スタッフ全員で1つの完成を目指していく工程がすごく好きなんです。正解はないのですが、みんなで美味しそうに見える料理にするために手を加えていく感じがいい。逆に丸投げのお仕事は難しいですね。自分ひとりだと、つい独りよがりになってしまうのであまり得意ではないです。どちらかというと、みんなで作っていきながら「美しい!」と見える料理を演出していくのが好き。ちなみに、基本的にはスピーディーをモットーにしております!

cake.jpg

hueand...まさに、広告のお仕事向きですね~。料理の美しさを意識しているということは、普段から見ているものが違ったりするのでしょうか...?

茂庭さん...それはあるかもしれませんね。料理写真のシズル感とか、角度とかが気になってしまいます(笑)。

hueand...角度ですか??

茂庭さん...そうです。お寿司のエッジが立っている部分の写真とかをじっと見つめてしまう(笑)。刺身の筋の入り方とか、いろいろと気になります。

hueand...お寿司のエッジだなんて、かなりマニアックですね(笑)。

茂庭さん...食材の流通の状態などでも写真映えが変わるので、そういうところから気になるのです。私自身、食べて美味しいと言われるより、見た目が美しいと言われる方が嬉しいので、つい美しい料理に惹かれてしまうのかもしれません。

10考えてから引き算をする

hueand...料理の広告撮影で大変な現場とされる食材は、よくラーメンだと聞きます。茂庭さんにもご経験がありますか?

茂庭さん...メーカーさんによって麺の流れとか、具材が入った時に麺をどこまで出すか、スープの量など、すべて違うので大変ですね。仕上がりのイメージをすべて先に考えてやることが大切です。10考えてから少しずつ引き算をしていかなければいけない。ですが、その要望を満たした時は感動的。たくさんの方が関わって完成した時の嬉しさは代えがたいです。

hueand...スタッフ全員で目標に向かって、着地した時の達成感みたいなのがお好きなのですね。

茂庭さん...それぞれのプロフェッショナルが集まって作り上げている現場感がとても好きです。話は変わりますが、カップラーメンの具に入っているネギがありますよね?あの中の美人ちゃんのネギを2時間くらいかけて集めていくような、そんな細かい作業も好きです(笑)。

ra-men.jpg

hueand...わ~、本当に手間のかかる作業が好きなんですね!

茂庭さん...よくフードコーディネーターの先生が、大変な現場に入って50テイクくらい撮影を重ねた後に、やっと理想のビジュアルが撮れた時に「神様が降りてきた」っておっしゃっていて。みんなが疲れている時に、やっといいのが撮れた時は、そういう心境になるのが今ではよく分かるようになりました。宗教的なことではないのですが、その言葉が私の中にずっとあります。

hueand...素敵ですね。1つのことにかける情熱みたいなものが伝わる表現です。

茂庭さん...今はスタイリングも料理もマルチにやらせていただいていますが、アーティストではないので、いただいたお仕事をご依頼に沿うようにやらせていただきたいと思っています。

pro.jpg茂庭翠/フードコーディネーター・料理研究家>

短期大学にて調理学を学び、複数のフードコーディネーターに師事。卒業後、飲食店の立ち上げから運営・調
理を担当。東京會舘クッキングスクーにて、西洋料理専属助手を経て、独立。広告、雑誌、テレビ、料理動画
などの分野で活動中。
kawagoe.jpg<川越晃子/たべものライター&編集>

出版社勤務後、フリーランスへ。食の取材を中心とした本の企画・構成をはじめ、レシピ作成やスタイリングを含めたトータルコーディネートなどを手掛けている。“食べるものによって、人の体も心も育まれる”という考えをモットーに、食べ物の裏側にある環境や農業、栄養学にも関心が高い。著書に、日本の食文化をまとめた『おにぎり』、『まるベジ・ドリンク』共にグラフィック社刊などがある。現在、フードスタイリスト、料理カメラマンとの女性3人のフードユニット「Soup Caravan」を結成中。

今回作ったレシピはこちら(@hueand_and

茂庭さんへのお仕事の依頼はこちらまで(→hue_and@hue-hue.com
依頼可能内容:商品企画・開発、レシピ開発、フードスタイリング、など

お問い合わせ

関連記事