「見る側の視線を惹きつける撮影を」Photographer鈴木孝彰

「見る側の視線を惹きつける撮影を」Photographer鈴木孝彰

「hue」という私たちの社名は、「色調」という意味があります。
そこにはスタッフ一人ひとりの個性を色にとらえて、
色彩ゆたかなチームにしたいという思いが込められています。
5名のフォトグラファーからスタートした食の専門スタジオヒュー。
創業16年目を迎える今、フォトグラファーの色は15色に増え、
ますます多様な表現ができるようになりました。

この記事では、一人のフォトグラファーがどのようにして“自分の色”を見出してきたのか、
影響をうけたものや、撮影でのエピソードなどを軸にあらためて振り返ってもらいました。
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フォトグラファー鈴木孝彰

鍋を振る音、ジュワっとはじける油、ゆらりと立ち上る湯気
心地よい音や、香りをすぐそばに感じさせる写真の数々。
第一回目は、躍動感やライブ感のあるシズル撮影を得意とする、フォトグラファー鈴木孝彰のお話をお届けします。

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こんにちは。フォトグラファーの鈴木です。
ヒューに入社して9年、フォトグラファーになってからは6年目になりました。

僕は普段、自分のことを甘ったれでわがままで…と感じているのですがその分、
スタジオでは、目の前にいるお客さまに真摯に向き合い撮影するようにしています。
いたって普通のことですが、無事に撮影が終わった後、
少し時間を置いてから必ず、じっくりと写真を振り返ります。
お客さまも喜んでくれて、いい写真が撮れたと自分で思っていても、
「ここにもっとこだわればよかった」と、その時は気づかなかったことが浮かび上がってくる。
それを次の撮影には必ず活かす、でもまた反省点を探す、もう永遠にその繰り返しです。

でもその延長線上に、「撮ってもらえてよかった」という
お客さまの言葉があるんじゃないかなと考えています。

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▲「今回も鈴木さんが撮ってくれるんですね、安心しました!」
とお客さまからお声をかけていただいた撮影。
料理の撮影をするフォトグラファーとして、
自分の写真を必要としてくれることが実感できた、
この言葉はとても励みになりました。

カンプ以上の表現を目指す理由


撮影する時は、少し遠回りなったとしても自分が考えるベストな表現を
お客さまに見てもらいたいと思っています。
つまりカンプ以上の表現を提案したい。

(カンプ・・・Comprehensive layoutの略。広告などを制作する上で仕上がりの見本となるもの)


もちろん忠実に撮影することが必要とされれば、その要望に全力で応えますが、
提案の可能性が少しでもあるなら、
フォトグラファーとしてより美味しそうに表現できる写真を見せたいです。
そんな風に考えるようになったのは
hueの先輩フォトグラファー石川寛さんの影響なのかも知れません。

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▲「一秒でも長く、この広告を見てもらいたい」という鈴木の思いから、
カンプにはなかった水が弾ける表現を提案。
麺の瑞々しさや清涼感が伝わる写真に仕上がり、お客さまも気に入ってくださったそう。


実はこのインタビューを受けることになった時、
影響を受けた写真家や、写真集、映画や本などいろんなものを思い浮かべてみたのですが、
好きな写真家や作品集はあっても、それが自分の撮影に活かされている訳ではない。

結局、今の自分の表現にたどり着いたのはなんだろうっと考えてみたら、
フォトグラファー石川寛さんについて学んだ時間だなと思いました。
僕はフォトグラファーに昇格する前の約2年間は一番近くで石川さんの撮影を見てきました。
改めて、その時に感じたことが今の自分の色を引き出しているのかもしれません。悔しいんですけどね。


石川寛・今までの記事はこちら

いい加減なのに写真はうまい、先輩フォトグラファーの存在

石川さんはヒューのどのフォトグラファーとも違っていて、
「カンプなんて興味ない」と言い切るんです。
最初はそんなこと言って大丈夫?と思いましたけど、
それは、「カンプより絶対いいものが撮影できる」
という揺るぎない自信がないと言えない言葉。
自分が撮影する立場になって気づきました。

毎回バンバン大きな広告撮影が入る、カンプを無視して撮影することもある、
それでも「石川さんに撮ってもらいたい」という指名で撮影が来るわけです。

撮影にはもちろん石川さんの意見が反映されているし、
抑えるべきところはきちんと抑えて、
余白があれば、その余白からはみ出すくらい
アイデアを持ってくるのが石川さんでした。
それを近くでみていて「すごいな!」と純粋に思ってしまった。
普段の石川さんはいい加減でだらしないところもある、
なのに写真は文句なしにうまい。そのギャップがなんか悔しいです。

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▲「“思ってしまった”というのは少なからず石川さんのルーズな人間性に振り回されてきて、
360度尊敬できる大先生というわけではないという事なんですけど…」とインタビュー中に何度も照れくさそうに説明する鈴木。
本当はプライベートでも一緒に食事や旅行にも行く仲だそうです。写真は石川さんの写真展にて。

“自分らしさ”を表す陰翳のある表現


今月末まで、hueのインスタグラムに掲載している9枚の作品は、
自分の写真らしさが良く出ているものを選びました。
らしさ、って何だろうと考えると、撮影のテクニックによった言い方ですけど、
質感や立体感を感じさせるもの。陰翳があるもの。
写真を見せたとき「ここに自然と目がいくよね」と、一番伝えたいものに視線を導く表現にこだわっています。

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でも、これも悔しいけど石川さんから教わったことです。
一度だけ、「撮影で何を一番重要視してるの?」と尋ねたことがあるんです。
そしたら「一番見せたいものを見せられればいいんだよ」と、ポツリ。
完全な答えをくれるわけじゃなくて、自分で考えさせる部分を残すように教えてくれたんです。
それ以降は、どうすれば見る側の視線を惹きつけられるのか試行錯誤しながら撮影を重ねてきました。
レンズでパースを付けたり、フォーカスを浅くした撮影をしてみたり。
そのうちにだんだんと自分なりのロジックにたどり着いたように思います。
本当は自分のインタビューで石川さんの名前、
出したくなかったですけど、しょうがないですよね(笑)。


【hue公式インスタグラム】はこちら
hueフォトグラファーが月替わりに9枚の作品を投稿しています。
20年6月末まで、鈴木孝彰の作品を掲載。併せてご覧ください。

鈴木孝彰 過去の記事はこちらから
「美味しい」と共にある、食が持つポジティブな要素を伝えたい。
Interview with hue’s Photographer #4 鈴木孝彰

撮影に関するお問い合わせはこちらから

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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