『おいしそうは人を幸せにする』Photographer 森一樹

『おいしそうは人を幸せにする』Photographer 森一樹

「hue」という私たちの社名は、「色調」という意味があります。
そこにはスタッフ一人ひとりの個性を色にとらえて、
色彩ゆたかなチームにしたいという思いが込められています。
5名のフォトグラファーからスタートしたシズル撮影専門のクリエイターチームヒュー

現在フォトグラファーの色は15色に増え、
ますます多様な表現ができるようになりました。
この記事では、一人のフォトグラファーがどのようにして
“自分の色”を見出してきたのか、影響をうけたものや、
撮影でのエピソードなどを軸にあらためて振り返ってもらいました。


今年入社15年目を迎える、フォトグラファーの森一樹
力強くストレートなシズル表現に定評があり、料理が持つ最高の一瞬を逃さない的確な表現力で、ヒューの若手フォトグラファーを牽引してきた存在です。今までの撮影事例を振り返りながら、転機となったエピソード、これからの活動についてお届けします。

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 ▲1979年岡山県生まれ。2002年東京水産大学(現・東京海洋大学)卒業。04年東京ビジュアルアール専門学校卒業。04年株式会社ヒューに入社。
「写真はテスト撮影した時に、長男にも手伝ってもらった時のもの。がんばってカレーの盛り付けをしてくれました」



森一樹・前回のフォトグラファーインタビューから4年経つわけですが、自分がやっていることは全く変わっていないですね。
強いて変化を挙げれば、広告系の案件より、商品パッケージや店頭メニュー撮影といったSP系(セールスプロモーション系)の撮影にほぼ特化してきたことでしょうか。

ちょっと大げさな言い方になってしまうけど、自分の人生における確信というか、
ずっと信じていることがあります。それは「“おいしそう”は人を幸せにする」ということ。

生きていれば、嫌なこと、悲しいこと、疲れる事って誰にでも絶対にあると思うんです。
でもそんな時に“おいしいもの”を食べると幸せな気持ちになる。
それと同じで、おいしそうなビジュアルを見た時に「あ、おいしそう…」と思った瞬間って心がふっと軽くなっていると思うんです。

私には6歳になる長男がいるんですが、外出先でラーメンやソフトクリームのポスターを見かけると、「おいしそう…」って顔をするんです。
そんな表情をみて、「おいしそう」ってうすごい力を持っているんだなと思いました。

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▲今年6歳になった長男。おいしいものに目がありません。

売れる、売れないが数字で表れるパッケージ撮影

商品のパッケージ撮影の案件が多いのですが、正直関わったすべての案件に思い入れがあります。
パッケージはいずれ世に出て店頭に並びます。
自分でもスーパーで買い物する際に商品棚を見ては、「売れているかな…」と気になるし、
誰かが手にとって買っていくのを見るとやはり嬉しい。
同時に、撮影した商品は「売り上げ数」としてはっきり数字に表れます。
もちろん店頭から消えていくシリーズもあるので、その時はさみしいですが、
商品の売れ行きが良い時は、「あの商品すごく評判良くて」とか「おかげさまで売上好調です」と
お客様に言っていただけるので、その時はとても嬉しいですね。

それに、商品が長くシリーズ化することも多々あります。
定番商品になると、5年、6年、もしくはもっと長期間携わることもあり、
もはや子供の成長を見守る気分だったりもします(笑)。

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「おいしそうは正義」胸を張れる仕事だと確信したできごと


パッケージの撮影に多く携わってきたなかで、転機と言えなくないこともありました。
一時期、自分にアート的な作品や案件が少ないと、悩んだことがありました。
「技術的な撮影は、実は誰にでもできるのでは?…自分しかできない表現はなんだ…?」
という考えが、通勤中にもやっと頭をよぎる、と言った感じでしょうか。

そんな時自宅で、自分が撮影した冷凍食品のパッケージを手に持って何となく見つめていました。
お弁当用のレンコン鶏つくねだったかな、黒酢あんが絡んだつくねを箸で持ち上げている、という画だったと思います。
すると、当時5歳だった長男が覗きに来て、
「おいしそー…これ食べたい」と、なんとも言えない“ほわっ”とした顔でつぶやいたのです。
その時、心の中にあった霧が晴れたというか、何かがストンと腑に落ちました。

「ああそうか、自分の仕事は胸を張れるんだなと、おいしいを極めればいいんだな」と。
今思えばとても些細なことですが、『おいしそうは人を幸せにする』
という自分の思いは間違いない、おいしそうは正義だな。と確信しました。

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“より良い撮影”をするために欠かせないものは

良い撮影に欠かせないことは…
つまみ食いかも知れません(笑)

撮影用にフードコーディネーターさんが料理していると、ついつい匂いにつられて食べたくなってしまいます。やはり、ある程度食いしん坊じゃないとおいしいものは撮影できない気がします。
(ということにしておきましょう)。

あとは色々な物に興味を持つことですかね。これは撮影に限ったことではないですが、“食”という分野も、食材・料理・調理方等々様々な流行り廃りや新しいものが次々に生まれています。それに興味がないといけないな、とは思います。

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家族のような“チーム力”を強みに

ヒューの強みはやはり“チーム”であること。
むしろ私の中では“家族”に近いかも知れません。

私は、大学卒業後、新卒でアマナへアシスタントとして入社し現在に至るため、他の会社というものを知りません。
なので他の企業がどんな組織を作っているのか、あまりわからないのですが、
ヒューは一緒に働くメンバーがとても家族的だと思っています。
たとえるなら、新卒アシスタントの時は子どものような感じ。
フォトグラファーや先輩アシスタントに知識や考え方を教わり、
キャリアを積んだアシスタントは兄のような役割で新卒アシスタントを見守る。
フォトグラファーになったら子どもであるアシスタントの成長を促し見守る。

自分自身が成長していく過程でも、多くの人に見守られてきましたが
それがいつか見守る立場になり色々な技術や知識を継承し、さらに発展させていく。

食のシズルに特化してこの規模でそれが出来る組織ってほとんどないと思うんですよね。
所属のクリエーターも動画撮影、ライフスタイル、パッケージなど、
得意な分野が多岐にあり、レタッチ、動画編集の知識も豊富です。
その知識を垣根なく共有できて、わからないところは気軽に教えてくれる人がいる。

私もレタッチ作業は自分でやりますが、ほぼ独学です。独学で身につけられたのは、わからない時に、わからない箇所をピンポイントで教えてくれる人がいつも身近にいたからこそ。そういう横の繫がりがしっかりあることが、ヒューの強みだと思います。

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「世間のおいしそう」と「自分のおいしそう」との最大公約数


今挑戦したいのは料理です。
6歳の長男と1歳の長女がいるのですが、長男は今までなんでも食べていたのに、最近椎茸を食べなくなりました。好き嫌いせず、何でも食べて欲しいので、ここはおいしい椎茸料理を作ってぜひ苦手意識を克服させたいところです。
個人的には肉厚の椎茸をグリルで焼いて塩一振り、がとてもおいしいと思うのですが、まだ6歳の息子には素材の味勝負はまだ早いようで…。
何とかビジュアルから作り込みたいですね(笑)

これからも続けていきたいことはやっぱり“おいしさ”の探求です。
おいしそうの基準って人によって差はありますし、自分のアンテナをしっかり伸ばして、「世間のおいしそう」と「自分のおいしそう」との最大公約数を日々探求していくことが必要だと思っています。
スチール・ムービー問わず、「おいしそうなビジュアルは森さん」と言われるように日々精進ですね。
最終目標は撮影した商品は絶対売れる “パッケージ撮影の神様” と言われて見たいです(笑)

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著者プロフィール

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シズル撮影専門のクリエイターチーム・ヒュー
ヒューは食の撮影に特化したフォトグラファーが多数在籍しています。スチール撮影からパッケージ撮影、動画などシズル感のある表現で「おいしい」が伝わるビジュアルをご提案していきます。
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