「写真をおいしく編集したい」はじめてのおいしい写真教室vol.5

料理撮影を専門とするスタジオ『hue』
そのhueのフォトグラファーがカメラの初心者においしい写真の撮り方を教えます!

第4回目では、おいしいお弁当の撮り方をテーマに、フードコーディネーターの福原知香さんとフォトグラファーの浦野航気を講師にレッスンを行いました(過去の記事はこちら)。

今回のテーマは、おいしい写真の編集方法。

過去4回のレッスンでおいしい写真の撮り方を教えてもらうことで撮影がどんどん楽しくなり、出かける時は必ずカメラを持ち歩くように。
でも撮影したたくさんの写真を見返してみると、中には逆光で暗いもの、全体的に赤っぽく撮れているものも……。
なおせる写真はなおして、大切なおいしい思い出をよみがえらせたい!

そこで第5回目では、CGクリエイターとしてフォトグラファーの写真のレタッチを手掛ける桜井なおみから、おいしい写真の編集方法を教えてもらいました。


フォトグラファーと一緒に作品づくりをするレタッチャー

――まずは「レタッチ」とはどういう作業なのか教えてください。
桜井さんのようにレタッチを専門とするレタッチャーという仕事があることを初めて知りました。

桜井なおみさん(以下敬称略) レタッチとは、画像を編集することを意味します。
具体的には写真の明るさや色の調整を行ったり、別の写真から合成したり、修正したりする作業です。

私はレタッチャーとして、クライアントやフォトグラファーと共にレタッチで写真をより魅力的に仕上げる作業を行っています。

また、撮影ではできないことをレタッチで再現させるということもあります。
広告や商業写真だと、決められたデザインの枠組みの中に写真をはめ込んでいかなければいけないので、レタッチは欠かせません。
インタビューカット.jpg

――フォトグラファーと一緒に作品づくりをするのがレタッチャーの仕事なんですね!
具体的にはレタッチでどんなことができるのでしょう?

桜井 例えば何種類もの料理が並んだ食卓があったとします。
全ての料理を同時に撮影しなくても、1皿ずつ撮ったものをレタッチで組み合わせることで1枚の写真の中で食卓が完成されてしまうんです。

――そんなこともできてしまうんですね!

桜井 ただしその場合は自然に見せるため、刻々と光の具合が変わっていく屋外撮影では撮影時にもちょっとテクニックが必要ですね。
なので一定の光と条件で撮影ができるスタジオ撮影に有利な方法です。

SNSでおいしい時間をなるべく早く伝えたい

――桜井さんはプライベートの写真ではレタッチはしていますか?

桜井 プライベートではなるべくレタッチしなくてもいいように撮影段階で気をつけるようにしています。せいぜい明るくしたりするぐらいですね。
レタッチを始めてしまうとこだわってしまうので(笑)。

レストランなどで撮影の空間が限られてしまう場所では、スマホや自分の影が入ってしまうことも……。
でもだからといってわざわざ席を立って撮影したりするよりも、おいしいものはおいしいうちにいただくようにしています。

――今はSNSを利用されている方も多く、おいしそうな写真をリアルタイムでアップするために一般の方でもけっこう撮影にこだわっていますよね。
先日もカフェで女子高生グループが注文したパフェを様々な角度から撮影していました。
テーブルに飾られている花を背景に入れてみたり、全員分のパフェを並べて撮影してみたり。
しかもちゃんと窓際の席で自然光で撮影していたので感心してしまいました!

桜井 SNSでおいしいものをなるべく早く伝えたいという気持ちも分かりますが、やっぱり食事はその時にしか味わえない楽しい時間を過ごすことが一番かなと私は思っています。
一緒に食事をする人に対しても、料理を提供してくれる人に対しても、マナーは大切にしたいですよね。
なので写真はなるべく時間をかけずにさっと撮り、上手くいかない時は諦めてしまいます。
あとからレタッチすればいいかなと!

――あとからレタッチができると思えばと安心ですね。
今までにもスマホのデフォルトの機能で明るさやカラーを調整してみたことはあるのですが、触っているうちに自分がどうしたいのか、どこを目指せばよいのか、分からなくなる時があります……。

桜井 この写真はどこをどうしたらもっと良くなるのか、頭の中で組み立てて作業を行えれば一番いいかな。
最初は難しいけれど、自分でレタッチしていくうちに段々身に付いていきますよ!
あとは雑誌などで色々な料理写真を見ていくと、自分の好みも分かりますし、基準を作ることもできます。

また、ネットで料理の画像を検索してみると、おいしそうなものもあれば、そうではないものもありますよね。
その時にどこをレタッチすれば良くなるのか考えてみることもレタッチの練習になります。

「Snapseed」を使ってスマホで簡単に写真を編集

――今日はレタッチしてほしい写真をいくつか持ってきました。
実際にどのようにレタッチするのか見せてください!

桜井 今回は「Snapseed」というスマホのアプリを使ってみましょう。
仕事ではフォトショップを使って作業しますが、できれば撮影した直後や移動途中にスマホで手軽に作業したいですよね。
このアプリはGoogleが開発した、無料の写真編集ツールです。
シミ除去、ブラシ、ストラクチャなどの29種類のツールとフィルタがあります。
ブラシを使って細かいところもでレタッチすることができますし、使い方も簡単ですよ!

手元カット2_(2).jpg

――まずはこちらのシフォンケーキの写真です。
なんだか全体的に青くて……。
ただ明るさ調整するだけでは上手くいかないんです。

桜井 この場合は「色温度」を調整してみましょう。
シフォンケーキプロセス11.jpg

① 下段中央の【ツール】をタップします。
② ツールパレットが現れるのでいちばん上左の【画像調整】をセレクトします。
③ 【画像調整】をセレクトしたのち画面中央を上下にスライドするとさらに項目が現れます。
④ 項目の中から【色温度】をセレクトし画面上を左右にスライドすると色温度が変化します。
⑤ 右へスライドで暖色系、左にスライドで寒色系に変化します。今回は右へ(+53)移動しました。


さらに「周辺減光」で数値をマイナスにして、よりシフォンケーキに目がいくようになります。
シフォンケーキプロセス21.jpg

① 【ツール】から【周辺減光】をセレクトします。
② 画面中央を上下にスライドし【外側の明るさ】をセレクトします。
③ 画面をスワイプしガイドラインがシフォンケーキの外側に来るように調整します。
④ 画面を左右にスライドし明るさの設定を行います。
⑤ 今回は左へスライドし(-55)に設定しました。


元の写真と比較してみましょう。
シフォンケーキ.jpg

――ぐっとおいしそうに見えるようになりました!
次はこのカレーの写真です。
スマホで撮った写真ですが、カメラで撮った写真のように手前がくっきり、背景がぼけているような写真にできますか?

桜井 「レンズぼかし」の機能を使ってみましょう。
さらに「周辺減光」で、先程とは逆に数値をプラスにして明るくしてみます。
そうすると背景が明るくなって爽やかになり、手前のカレーに目がいくようになります。
カレープロセス11.jpg

① 【ツール】から【レンズぼかし】をセレクトします。
② 画面を上下にスライドし【ぼかしの強さ】【変化の緩やかさ】【推移編減光の強さ】を順に設定していきます。それぞれの強さは画面を左右にスライドして決定します。
③ 今回は【ぼかしの強さ】(+75)【変化の緩やかさ】(+37)【推移編減光の強さ】(+0)に設定しました。  
④ さらに【周辺減光】ツールで【措置側の明るさ】をセレクトし(+35)に設定しました。

比較してみるとどうですか?
カレー.jpg

――メインを目立たせるために周辺を暗くすることもあれば明るくすることもあるんですね!
最後にこのラーメンの写真です。
チャーシューの上に1個だけのっかっているネギが気になるんですよね。

桜井 「シミ除去」を使えば取れますよ!

ラーメンプロセス11.jpg

① 【ツール】から【シミ除去】をセレクトします。このツールは指で撫でたところが周辺の画像とミックスされ馴染む効果があります。細かな作業の場合は画面を拡大してから作業しましょう。
② ネギの上を指で撫でます。画像が変化します。上手くいかない場合は下の【戻る】矢印をクリックすると画面が戻ります。
③ 何度か作業を繰り返し最適な画像を仕上げます。
このツールのポイントは、消したいもののサイズと周辺の画像の状況により仕上がりが左右されることです。
高度なテクニックとしては【二重露出】とマスク効果を利用する手法もあります。

ラーメンネギ有無.jpg
――すごい! まったく違和感がありません!

桜井 ポイントとして、あまり細かい柄の上にあるものはきれいに消せません。
また作業をする時はなるべく拡大して、消したいものだけを消すようにしましょう。
右上に写りこんでいる調味料ケースも消しちゃいましょう。
こちらも周辺減光して完成です!
周辺減光.jpg

写真のレタッチは薄化粧で!

――もう削除しかないと思っていた写真がどんどん生き返っていくので楽しいですね!
レタッチにハマりそう。

桜井 今はこういうアプリなどを使って一般の方でも簡単にレタッチができてしまうので、色合いをはっきりと出したがる傾向があります。
それによって元々の写真が崩れてしまうこともあります。
楽しくなってついついやりすぎちゃうんですよね。
その写真の中で何を見せたいのか決めて、軽くお化粧してあげるぐらいがちょうど良いですよ。
レタッチは厚化粧はせずに、薄化粧で!

――レタッチだけに頼らず、かといってあまり撮影に時間をかけることないようにバランスが大切なんですね。
桜井さん、ありがとうございました!



おいしくレタッチするポイント:

・スマホのアプリを使って手軽に写真を編集しよう
・自分の好みや基準はたくさんの写真に触れて見つけよう
・レタッチはあくまでも薄化粧で!




※はじめてのおいしい写真教室vol.1 井口俊介の記事はこちら
※はじめてのおいしい写真教室vol.2 ジョ ヘミの記事はこちら
※はじめてのおいしい写真教室vol.3 浦野航気の記事はこちら
※はじめてのおいしい写真教室vol.4 福原知香の記事はこちら

著者プロフィール

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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