仕事で使える! おいしい写真のレタッチ方法とは?

仕事でPhotoshopを使ってレタッチをされている方必見! 料理撮影を専門とするスタジオ『hue』のレタッチのプロがおいしい写真の修整のコツを教えます。

カメラの初心者向けの写真講座シリーズではスマホのアプリを使った写真の編集方法をお伝えした(過去の記事はこちら)桜井なおみが、CGクリエイターとしてフォトグラファーの写真をどのようにレタッチしているのか、実例を交えながら教えます。


おいしい写真をよりおいしくする仕事です!

――桜井さんの仕事内容を教えてください。

桜井なおみさん(以下敬称略) 私が行っているレタッチという仕事は、画像のトーンやコントラストを調整したり、いろんなものを足したり引いたりする、写真の編集作業です。

――スマホで撮った写真も明るさを調整したりしますが、それをもっと細かく行っていくイメージでしょうか。

桜井 全体のトーン調整以外にも合成という作業もあるんですよ。

――料理写真の合成だと、たとえばどんなことをするんですか?
例えば温かい飲み物からハートの形の湯気が上がっているように見せたり?

桜井 そういうないものを合成で作っていくこともあるんですが、料理写真では料理のおいしそうなパーツを撮り分け、最後にそれを合わせて一つの画を完成させていく手法も多いんですよ。

そのためにはフォトグラファーも撮影時点で完成図を頭の中に作り上げておいて、一つの料理のおいしそうな瞬間瞬間を撮影していきます。
それは主役となる料理の火入れ加減だったり、ソースやスープのちょうどおいしそうにきれいに見える瞬間だったり、湯気の感じだったり。
レタッチを始める時は、どんな瞬間が撮影されているのかいつも楽しみにしています。
なおさん1.jpg

――合成というと、ないものをゼロから作り上げるイメージでしたが、実際に撮影したものの組み合わせなんですね。

桜井 それが料理写真のおもしろいところであり、難しいところではあるんですよ。
やっぱり実際のおいしそうな瞬間をとらえた素材があればあるほど、写真はきれいな表情に仕上がるんですよね。

――それはどんな過程を経て完成させていくんですか?

桜井 一つは、フォトグラファーが組み⽴てた素材をわたし達が受け取り、⼀緒に作り上げていく方法です。

もう一つは、撮影現場にレタッチャーも同席して撮影した写真を確認しながら、よりおいしそうに見せるためにクライアントやフォトグラファーと一緒に話し合って必要な要素をその場で撮影していく方法です。

ここまで変わるか! 五感を刺激するレタッチノウハウ

――実際にレタッチの作業を見せてください。

桜井 今日はこのハンバーグの写真をレタッチしてみましょう。
ベース.jpg

先程料理写真は美味しそうな素材があればあるほど合成した時においしそうに見えるというお話をしましたが、こちらが今回の素材です。
素材集合.jpg

▲(左)ソースの素材、(中)泡の素材、(右)背景の素材

まずは泡をいくつか足します。
001.jpg

次に照りや質感がおいしそうなソースを足します。

そして背景の写り込みを天板の素材の写真を使って消します。
こちらは撮影現場でフォトグラファーから背景修整の要望が出た時点で天板の写真も必要かなと思い、私から素材の撮影を依頼しました。002.jpgこれでベースの形ができたところで、トーンカーブ(明るさやコントラスト)でいくつか調整を加えていきます。

例えばハンバーグの断面の明るさを調整したり、主役に目が行くように周辺減光したり。
今回は全部で7段階の調整を加えました。
003.jpg

そして湯気を加えます。
今回は別撮りの湯気の素材を、ハンバーグにサイズなどを合わせて合成します。
最後に全体のトーンを調整します。
005.jpg

これで完成です!
レタッチする前と比べてみてどうですか?
ハンバーグ_ビフォアフ.jpg

レタッチはおいしさ表現のメイキャップ!

――料理の撮影するためには最高においしく見える奇跡の瞬間をひたすら待つしかないと思っていました!
こういうテクニックを使うことでもおいしさは表現できるんですね。

桜井 もちろんそういう撮り方をする時もありますし、フィルムを使っていた時代はその方法しかありませんでした。
でも今は合成という手法があるので、素材を撮り分けていくことも多いんです。

今回のハンバーグでもそうですが、焼けている様子、ソースや湯気の様子など全てが完璧な瞬間を撮るのは難しいですし、そういう瞬間をねらっている間に食べ物の表情は刻々と変化していきます。

また、ものによっては合成の方がおいしさを伝えられるものもあるんですよ。
たとえば湯気は実際に目で見たものをそのまま撮影すると、全体が白くぼやけてしまうんです。
それが本物だとしても、写真で見たときにおいしさが伝わらなければ意味がありません。
そこで合成を使うことによって、主役の輪郭ははっきりと見せつつ、かつおいしさを引き立たせることができるんです。

――合成はおいしさをコントロールすることなんですね。
レタッチをする時にどんなことを基準にしているんですか?

桜井 食べ物はやっぱり「食べたい!」って思えることが一番の基準です。
その上でかっこよい仕上がりにするのか、優しい雰囲気にするのかなどテイストはクライアントやフォトグラファーと相談して決めていきます。

――レタッチのコツは?

桜井 最初に細部を修整していき、最後に全体のトーンを変えることですね。
そうすることでやり直しもしやすいです。

あとはレタッチが完了したら、一旦コーヒーブレイクを設けたりして見直してみること。
少し時間を置いてみておいしそうに見えるか、やり過ぎていないか確認することも大切です。

おいしい写真はレタッチを上手く使ってよりおいしく。
様々なテクニックを使って、おいしさの表現の幅を広げてみてください!

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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