「シズルを生み出す会社ができるまで」食が集う空間 hue+の秘密vol.1

2005年3月、「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影スタジオとしてオープンし、その後撮影以外にもレシピの開発・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど、多彩に提案できる「食の総合プロデュース会社」として活動してきた株式会社ヒュー(hue inc.)
今回はヒューのファシリティコンセプトについてシリーズでお伝えしていきます。
第1回目では、「シズルを生み出す会社」がどのようにつくられていったのかお話しします。

大型スタジオからマンションへの引っ越し、どうなるhue?!

設立当初、hueはグループの親会社である株式会社アマナの本拠地・天王洲にスタジオを構えていました。
スタッフも増えてきてそろそろスタジオ増床を考えた時、そもそも我々が専門としているテーブルトップの撮影を他のフォトグラファーの方々はどのような環境で撮影しているのかを改めてリサーチしてみました。
すると個人事務所などマンションの1室を占有スタジオとして使用されている方が多いことに気付きました。
規模はそれほど大きくはないけれど、自然光が入る素敵な空間で撮影しているのです。 
我々も設備重視の大型スタジオから、気持ちよくクリエイティブ活動ができる空間が欲しい! と思った瞬間でした。
そこでスタジオをダウンサイジングする代わりに、環境の良さを重視して場所を選ぶことにしました。

2007年、港区海岸に位置する海沿いのデザイナーズマンションに移転。
最初はメゾネットタイプの4部屋をスタジオにしました。
天王洲のスタジオと比べると規模もだいぶ小さくなったので、移転した当初はそれまでの広いスタジオを知るお客さんからは「なぜわざわざマンションに移転したの?」という疑問の声も……。
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▲大きな窓から自然光たっぷりの空間


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クライアントとの距離がぐっと縮まった理由

しかし結果的には良いこと尽くめ!
例えば、スタッフ含め我々の気持ちの変化です。
住居スペースをスタジオにしていたので、お客さんが来訪されると「ピンポーン」とインターフォンが鳴り、玄関でお迎えしてスリッパに履き替えてからリビングに入っていただきました。
こうした動きから今までの大型スタジオの時とは異なり、我が家にお客様を迎え入れるような気持ちになり、同時におもてなしの気持ちが芽生えるようになったんです。

撮影時も以前はお客さんにはスタジオの外でお待ちいただき、チェックの際にスタジオに来てもらい、チェック後はまたスタジオの外でお待ちいただくというスタイルでした。
しかし新しいスタジオでは、本来寝室であろうメゾネット上段が立会スペース、リビングが撮影スペースということで、お客様と撮影現場の距離が近くなり、お客様にも現場の雰囲気を感じてもらえるようになりました。
その距離感が全員でクリエイティブをしているという雰囲気をかもしだし、とても良いクリエイティブ現場となりました。

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もう一つお客様との距離を縮めたもの、それはキッチンです。
食の撮影スタジオなので、撮影が終わった後は食材が余ります。
それをキッチンで料理して最初はスタッフだけで食べていたのですが、そのうちにお客様も一緒に楽しむようになり、さらに時々お酒も加わって(笑)、それが打ち上げも兼ねてのコミュニケーションの場となっていきました。
そこでの会話は仕事の話やプライベートの話など様々でしたが、確実に良いクリエイティブチームに仕上がっていく感じはありました。
最後は全員で後片付け。
お客様の部長さんと肩を並べてお皿洗いをすることも!
普段はなかなかできない、決して会議室では出てこない有意義なコミュニケーションがたくさん生まれました。
その時に実感したのは、「おいしいものは素敵なコミュニケーションを生む」ということ。
マンションスタジオではこういった数々のメリットを体感することができました。
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その後さらに部屋数を増やしてより多くのお客様を迎え入れようとしたのですが、マンションの住民の方々との関係もありマンションでの増床は断念しました。

「脱写真撮影スタジオ」宣言が形になったhue+の誕生

2011年、現在の海岸ANNEXスタジオに引っ越します。
最初は6、7階、2014年に5階も追加され、現在3フロアを使用しています。
再び空間は大きなスタジオになったのですが、マンションで培ってきたことは活かしたいと考えました。
そこで我々は、「脱写真撮影スタジオ」宣言をしました。
ただの撮影スタジオではなく、「つくること」「たべること」をこころから楽しむ人の空間として活用したい。
そしてその空間を「hue+(ヒュー・プラス)」と名付けました。

hue+という空間の名前には、食マーケットを扱うhueに、様々な人・もの・情報が集まり、プラスされていくイメージ、前向きに進化していく、新しいものが加わっていく、そういったこれから取り組んでいきたいヴィジョンが込められています。

ここでのコンセプトは「集」。
これが当初のコンセプトイメージです。
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そして現在3フロアに、人が集う場所としてカフェラボ、ものが集う場所として食器庫、情報が集う場所としてライブラリー、そしてHUE CAKE LABOというケーキ屋さんがあります。
また、食にまつわる様々なイベントを行うことで、hue+の存在を知ってもらったり、お客さまとのパイプを太くしています。

hue+の設計は、スキーマ建築計画の長坂常さんにお願いしました。
アマナグループとしていつもお願いする建築事務所もあったのですが、hue+はまた違った空間にしたかったのです。
長坂さんにお願いする前は他の建築事務所にお願いしていたのですが、計画の途中で2011年の東日本大震災があり、半年以上計画が伸びました。
そこで我々の考え方にも変化があり、もう一度コンセプトから考え直しました。
それまで考えていたのは、100%作り込んだ空間作りだったのですが、震災以降はそこで仕事をする人の気持ちやトーンによって作られていく空間がいいなと考えるようになりました。
そういう考え方に共感してくれた長坂さん、そしてスタッフも交えて何度も話し合いを重ねてコンセプトをまとめていきました。
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そしてコンセプトから約1年、hue+はついに完成しました!
その後、長坂さんは全米・日本国内の「ブルーボトルコーヒー」の設計など一手に引き受けるなど、多くの有名案件を手掛けられとてもお忙しい建築家になられました。

実際長坂さんが作ってくれたhue+で仕事をしてみると、新しい空間でも自然と馴染むことができ、長坂さんにお願いして本当に良かったなと思っています。
また、今までにないテイストの場所ということでアマナの中でも話題になりました。


次回からは、人が集う場所としてカフェラボ、ものが集う場所として食器庫、情報が集う場所としてライブラリー、そしてHUE CAKE LABOをそれぞれご紹介します。

食が集う空間、hue+の秘密をどうぞお楽しみに!

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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