世界のお酒のスペシャリスト直伝! すぐに試したくなるマリアージュの楽しみ方・ラム編

お酒の楽しみ方として浸透してきた料理とのマリアージュ。
ワインや日本酒についてはよく聞きますが、その他のお酒についてもそれぞれの楽しみ方があるはず。
そこでその道のスペシャリストに、よりお酒を楽しめるマリアージュについて教えてもらいます。
定番のものから、そのお酒を熟知しているからこそ提案できる、
スーパーやコンビニで買えるものとの意外な組み合わせもご紹介!

第1回目は、ラムです。
お話は『日本ラム協会』会長で、『SCREW DRIVER』(吉祥寺)
オーナー・バーテンダーの海老沢忍さんにうかがいました。
場所は、海老沢さんのバーの系列店『ARIAPITA RUM&PUNCH』(渋谷)です。

ラムってどんなお酒?

――ラムと聞いて思い浮かぶのは、モヒートなどのカクテルだったり、
海賊が片手にしているようなちょっと荒々しいお酒というイメージもあります。

まずはラムがどんなお酒なのか教えてください。

海老沢忍さん(以下敬称略) ラムの原材料はサトウキビです。
でもラムがつくられている地域は、サトウキビの産地だけに限りません。
実は南極大陸以外のすべての大陸でつくられていて、銘柄数は4万以上あると言われています。
つまり世界でもっとも多くの地域で生産されている蒸留酒なんです。
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ラムの特徴のひとつに、味のバリエーションの多さが挙げられます。
味の違いを生む要素として、まずはサトウキビの処理の方法の違いがあります。
9割のラムは、サトウキビから砂糖をつくる際に結晶化しなかった部分「糖蜜」を原材料としています。
その他にサトウキビを丸ごとジュースにしてからつくるアグリコールラムや、
そのジュースをシロップ化したものからつくるラムもあります。

続いて、熟成期間・熟成方法の違い。
ラムは大きく3つに分類されています。
樽熟成させていない無色透明のホワイトラム、熟成期間3年未満のゴールドラム、
バーボン樽などで3年以上熟成させたダークラム、その他に薬草や香辛料を漬け込んだスパイスドラムなどがあります。

そして、宗主国の違い。
ラムの産地の中心は、ラテンアメリカです。
ここはかつてヨーロッパ諸国によって植民地化されていた地域であり、
どこの国の支配下にあったかによって、香りや味わいに違いが出てくるところもラムの特徴なんです。
具体的には、イギリス領はスコッチ、フランス領はコニャック、
スペイン領はシェリーやシェリーブランデーの酒造方法が取り入れられています。

ラムの普及に努めて10年『日本ラム協会』

――ラムにはそれだけの種類や違いがあるんですね!
海老沢さんはラムの普及のためにどんな活動をされているのでしょう?

海老沢 僕は1997年に吉祥寺に『SCREW DRIVER』というラム専門のバーをオープンしました。
その頃、ちょうど同じタイミングで都内に何店舗かラムバーができ、それぞれのお店がラムを広めようとしていました。
各店の店主とはイベントなどを通して繋がっていったのですが、それぞれが個人の店でできることに限界を感じていたんですよね。
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そこで2008年、都内5軒のラムバーで『日本ラム協会』を立ち上げることにしました。
目的は、日本におけるラムの「認知」「普及」「定着」を目指し、 消費者とラムを繋ぐ様々な活動によりラムの愛好家を増やすこと。
当時はラムについての知識がないバーテンダーも多かったですし、知識を得ようにも古くて分かりにくい文献しかなかったんです。
そこでホワイトやダークなどラムの種類だけではなく、宗主国の違いからラムを分かりやすく説明しようと考えました。

――先程ラムがどんなお酒なのか少し説明を聞いただけでも、暖かい国のお酒というぼんやりとしたイメージから歴史に紐づいたお酒であるということが分かりました!

海老沢 さらにラムの一大産地であるラテンアメリカは、日本からずいぶん離れた国ですし、イメージが湧きにくいですよね。
だから知ってもらうためには文章にしたり、セミナーを開催しなければならないなと。
そこで2012年に資格制度『ラム・コンシェルジュ』を立ち上げました。
現在ラム・コンシェルジュは全国で約1300名いて、そのうちの7割がバーテンダーの方です。
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もう一つの活動軸は、アジア最大のラムイベント『JAPAN RUM CONNECTION』です。
2013年にスタートし、現在では来場者数1000名規模のイベントとなっています。
ラムはラテンアメリカのあいまいなお酒ではないということを伝えながら、
音楽やダンスと共に楽しむ世界観も表現するためには、参加者が体験できるイベントが必要だったんです。
そこで『ラム・コンシェルジュ』はラムを学ぶ、『JAPAN RUM CONNECTION』はラムを体験するという2本柱で普及活動を行っています。
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――これから先の活動として考えていることは?

海老沢 日本はラムの輸入国であると同時にラムとさとうきびの生産国でもあります。
そこで沖縄でさとうきびやラムに触れてもらうツアーを企画しています。
サトウキビ畑や蒸留所を回ったり、夕暮れ時には海辺でアグー豚を食べながらラムを楽しんでもらったり!
その先は、東南アジアやカリブ海のツアーにもつなげていきたいですね。

まずはこれを合わせよう! マリアージュで知るラムの魅力

――ラムはどんなものと合わせて楽しめばいいのでしょう?

海老沢 まずは、ラムそのものに感じられる要素にフォーカスを当てて、
それを引き出したり、より強調したものをご紹介しますね。
ここ『ARIAPITA RUM&PUNCH』でも提供しているメニューです。

アリアピタ特製チョコレートセット×『バカルディ エイト』『アプルトン12年』
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ラムとチョコートは鉄板の組み合わせです。
このセットの中身は、
・チップス型のオレンジチョコレート
・小枝型のオレンジチョコレート
・自家製のオレンジドライフルーツ
・ダークチョコレート
『バカルディ エイト』や『アプルトン12年』などジャマイカのダークラムには、
オレンジピールのニュアンスがあるんです。
合わせて楽しむことでそういうラムの特徴を感じてもらえると思います。

『ロン・サカパ エディシオン・ネグラ』の生チョコ×『ロン サカパ23』『クレマン クレオール・シュラブ リキュール・ドランジュ』
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これはパティシエの方にお願いして特別に作ってもらった生チョコで、
アルコール感や香りが絶妙に残っていて絶品なんです!
ロンサカパとは間違いなく合いますが、
アグリコールラムベースのオレンジの漬けラムと合わせると、
オレンジとビターの要素が足されてよりマリアージュを楽しめますよ。

塩羊羹×『J. バリー アンブレ』『ラオディ ホワイト』
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塩羊羹は、アグリコールのホワイトラムに合います。
少しだけ樽熟成させたマルティニークのゴールドラムもおすすめですが、
和のものなのでラオスで日本人がつくっている『ラオディ』と合わせてみました。
これからは水羊羹やぜんざいなど和菓子とラムのマリアージュも考えていきたいですね。

杏仁豆腐×『プランテーション オリジナル ダーク』『セイラージェリー スパイスドラム』
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杏仁豆腐には、『デメララ』というラムを煮詰めた黒蜜を添えています。
ラムにはあんずの香りの要素も含まれているので相性はいいんです。
黒蜜を活かしたいので、あまり甘すぎずに風味とパワーあるダークラムを選びました。
ダークラムの焦げ感も黒蜜と合いますよ。
また、このスパイスドラムにはあんずの香りが感じられるので、杏仁豆腐とマッチングすると思います。

おなじみのスナック菓子から生まれる極上のマリアージュ

海老沢 続いて僕が個人的に楽しんでいるものをご紹介しますね。
スーパーやコンビニで買えるお菓子なので、
僕は仕事帰りやキャンプに行く時に買ってその時にあるラムと楽しんでいます。

『黒糖みるく』×『エルドラド15年』
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これは三幸製菓から出ている、サクサクと軽い食感の糖衣がけのおせんべいです。
ダークラムなら何でも合うとは思いますが、甘味があって骨太な、ザ・ダークラムをセレクトしました。
『エルドラド15年』の焦げ感と軽快感、そしてスモーキーな香りととっても合います!

伊江島のピーナッツ糖×『イエラムサンタマリア ゴールド』
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伊江島産のもの同士で合わせてみました。
ゴールドラムは、ダークほど主張せずにホワイトラムの若々しさが若干丸くなったラムなので、
マリアージュにはおすすめです。

甘納豆のアソートパック×『マウントゲイ ブラック・バレル』
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マウントゲイは、強い個性があるというわけではないけれど、気楽に楽しめるラムですね。
しつこくないから飲み飽きない。
エルドラドがカルビなら、マウントゲイはタン塩かな(笑)。

『キャラメルコーン』×『パッサーズ ブリティッシュ・ネイビー ラム』『ハバナクラブ 7年』
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ネイビー ラム自体がキャラメルの香りがするので、キャメルコーンの香りを優しく包み込みます。
それに比べると、ハバナクラブは香りは弱いのですが、コーンや塩味とよく合います。
マリアージュもそれぞれどの要素と合わせるかによって楽しみ方も広がりますよ。
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お客さんにもよくアドバイスするんですが、
日本人って鼻に香りを入れる時は集中するんですけど、鼻残りに気付かないんです。
ラムはあらゆるお酒の中でも香りのお酒だと思います。
残り香については、ウィスキーかそれ以上に楽しめるところもラムの魅力。
その優雅でエレガントで優しい香りでほわ〜んと酔えるところがいいんです。
だからマリアージュでも残り香を大事にしてくださいね。
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『ARIAPITA RUM&PUNCH』(渋谷)店内の様子


楽しみ方を知って広がるお酒の世界。
次回もお楽しみに!

プロフィール:
海老沢 忍 Shinobu Ebisawa
『日本ラム協会』会長。『SCREW DRIVER』(吉祥寺)オーナー・バーテンダー。
ラムのコレクションは、店内にあるだけで約500種を誇り、並びきれないラムが自宅をも埋め尽くす世界屈指のコレクション。
その活動は、バーにとどまらず、野外フェスや、アウトドア・ブランドとのコラボレーションなど、異業種との交流を通じて、続々ラムファンを増やしている。

INFO:
『JAPAN RUM CONNECTION 2019』
アジア最大級のラム&カシャッサフェスティバル!

11月10日(日)開催決定!

今回からは前回までとは異なり、下記のようにコンセプト別に季節を分けて開催いたします。

●2019/11/10(Sun)Tasting & Seminar
会場:SHERE GRENN MINAMI AOYAMA(青山)
※チケット販売予定:9月10日

●2020/04/19(Sun)Cocktail & Music
会場:Sound Museum Vision(渋谷)

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株式会社ヒュー
株式会社ヒューは「食」を中心とした広告や商品パッケージの撮影から、レシピの開発・提案・クッキングの手配や出版物・WEB・デザイン・SNSを使ったコミュニケーションツールなど多彩にご提案が出来る「食の総合プロデュース会社」です。
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