「ケバブだけじゃない、中東料理の世界へようこそ」サラーム海上さんインタビュー

「ケバブだけじゃない、中東料理の世界へようこそ」サラーム海上さんインタビュー

ケバブ、フムス、ファラフェル。
これはすべて中東料理の名前です。
最近では中東各国のレストランも増え、レシピ検索ワードとしても急上昇しています。
今回ご登場いただくのは、音楽評論家/DJ/中東料理研究家として活躍されているサラーム海上(うながみ)さんです。
中東文化の伝道師であるサラームさんのお話を読めば、遠い国だった中東のイメージが変わります!

中東料理はこの4つの食材からできている!

――中東料理というと、まず肉やスパイスが思い浮かびます。

サラーム海上さん(以下敬称略) 皆さんからよく挙がる料理名も「ケバブ」ですね。
そもそも中東とはどこの地域を示すのか?
砂漠のイメージも強いと思いますが、アラビア半島以外は東地中海に位置しています。
中東の食文化の中心はレバノンやトルコ、イスラエルですが、この地域には四季もあるんです。
そうすると肉の保存のために必要なスパイスを大量に使うということもほぼありません。
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――中東料理=スパイシーではないんですね!

サラーム そうなんです、その代わりにフレッシュなハーブはたくさん使います。
中東料理にとって大事な4つの食材があります。
それは、「レモン」「にんにく」「パセリ」「オリーブオイル」です。
ちなみにオリーブオイルが世界で最初に作られたのは、現在のレバノンあたりと言われています。
世界で最初に農業が始まったとされているのも、現在のトルコ南部です。
ワインのはじまりについては、一つはジョージア、もう一つは現在のトルコやレバノンのあたりという二つの説があります。
つまり地中海ヨーロッパの料理の起源は中東にあるんです。
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音楽文化から入った中東で出会った豊かな食文化

――少しお話をうかがっただけで、中東料理のイメージが変わりました!
サラームさんの現在の活動と、中東文化を伝えるようになった経緯を教えてください。

サラーム 僕は音楽評論家で、原稿執筆の他ラジオやクラブのDJとして活動しており、中東に行ったのも音楽がきっかけでした。
ある時モロッコのレストランで食べたタジン(北アフリカの土鍋を使った料理)が最高においしくて!
ぜひ紹介したいと思い、日本で記事にするから取材させてもらえないか交渉したところ快諾してくれて、料理教室も開いてくれたんです。
それをきっかけに2010年頃から音楽と並行して料理の取材もするようになり、2013年に『おいしい中東 オリエントグルメ旅』という紀行エッセイを出版。
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『おいしい中東 オリエントグルメ旅』(双葉文庫)


そのうちに日本各地のレストランやカフェから「うちに来て料理を作ってほしい」と頼まれるようになったんです。
そこで始まったのが、「出張メイハネ」です。
メイハネとは、トルコ語で居酒屋という意味。
これは僕が各地に出張して料理を作って振る舞うというイベントで、今までに50回以上開催しています。
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2016年には『MEYHANE TABLE 家メイハネで中東料理パーティー』(LD&K BOOKS)というフルカラーの料理本を出し、それ以降料理の仕事の依頼も増えていきました。

ブーム到来! 中東料理の今とこれから

――料理の仕事になるようになって、日本人の中東料理に対する反応の変化は感じますか?

サラーム ここ5年ぐらいでホモス(=フムス。ひよこ豆のペースト)といった料理も普及してきたなと感じています。
最近では渋谷にできた商業ビルにも2軒の中東料理屋が入りましたし。

ただし日本で食べられる中東料理は30年前から変わっていないんです。
今、『NOMA』などに影響されたフュージョン料理やファインダイニングといった新しい動きが世界中で起こっています。
こうした食の多様化は中東でも起こっていて、先日訪れたイスラエルでもわさびや柚子、麹を使う店がありましたよ。

――中東でも日本の食材が使われているとは驚きです!
サラームさんはこれからどんなことを伝えていきたいですか?
また日本における中東料理はどうなっていくのでしょう?

サラーム 中東は宗教上の理由から一部の動物由来の食物を食べない人も多いため、ベジタリアンやビーガンの方に対応できるバリエーション豊かな料理があります。
さらにそういう方たちが肉や魚なしでも生きていけるぐらいフレッシュな野菜もたくさんあるんです。
このように中東は肉料理だけではないサラダの国であり、農業輸出国であるということを伝えていきたいですね。
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2020年日本では4000万人近いインバウンドが見込まれていますが、そのうち少なく見積もっても約200万人がベジタリアンでしょう。
彼らがどこで食べるかというと、今日本にある飲食店では対応しきれません。
インド料理屋ではベジタリアン対応ができるけれど、世界的に見るとあの辛さを楽しんで食べられる人種は少ないんです。
彼らが食べられるのは、中東料理です。
だから今日本で中東料理が作れる人は競合相手もいない、まさにブルー・オーシャンなんですよ!
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作ってみよう、味も見た目も多彩な中東料理

実際に中東の料理を作ってみましょう!
今回はイタリアンパセリのサラダ「タッブーレ」のレシピ教えてもらいました。
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「タッブーレ」
材料(2人分)
 イタリアンパセリ……………………………………100g
 スペアミントの葉……………………………………1/2パック
 トマト(完熟のもの)………………………………1個
 ブルグル(細挽き)…………………………………大さじ1
 赤玉ねぎ………………………………………………1/6個
 レモン汁………………………………………………2個分
 塩………………………………………………………少々
 A EXVオリーブオイル……………………………大さじ3
   オレンジジュース(果汁100%のもの)……大さじ1
   オールスパイス…………………………………少々
   塩…………………………………………………小さじ1/2
   こしょう…………………………………………小さじ1/2

作り方
① ブルグルはレモン汁をからめる。イタリアンパセリは葉を細切りにする。スペアミントも細切りにする。トマトはへたを取って5mm角に切る。赤玉ねぎはみじん切りにしてボウルに入れ、塩をふって10分おく。水けが出てきたらペーパータオルで水けをとる。
② ボウルに1を入れ(飾り用にトマトを少し取り分けておく)、Aを加えて混ぜ合わせ、ラップをかけて冷蔵庫で30分以上冷やす。器に盛って取り分けておいたトマトをのせる。


フレッシュな野菜をふんだんに使った彩り豊かな中東料理。
オリンピックイヤーを皮切りにますます訪日客の民族の多様化が進む中、日本でも今の中東料理を食べられるようになる日も近いかもしれません!

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株式会社ヒュー
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