五感で楽しむアート『Fabパフェ』の世界 Srecette小関智子さんインタビュー

五感で楽しむアート『Fabパフェ』の世界 Srecette小関智子さんインタビュー

みなさんには“パフェ”の思い出はありますか?
子供の頃に連れて行ってもらったデパートの食堂 で食べた大きなパフェ、
大人になって喫茶店やカフェでひさしぶりに頼んだパフェ、
旅先で出会った地元のフルーツ盛りだくさんのパフェ。
最近ではお酒の〆に楽しむパフェもあります。

今回お話をうかがったのは、パフェを専門にしているパティシエの小関智子さんです。
小関さんはソロユニット『Srecette(エスルセット)』として、季節ごとに『Fabパフェ』を発表しています。
前売り制のチケットは販売から数分で完売する、知る人ぞ知る小関さんのパフェの世界をご紹介します。

一度体験したらリピーター必至! 季節と共にやって来る幻のパフェ

――まずは小関さんの現在のご活動について教えてください。

小関智子さん(以下敬称略) 2015年から渋谷・道玄坂にある『FabCafe Tokyo』で、期間限定でパフェを提供しています。
年に5、6作のペースで新作を発表し、2020年11月のパフェが23作目となります。
この活動については、100作まで続けるつもりです。

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『FabCafe Tokyo』は、3Dプリンタやレーザーカッターが使えるデジタルものづくりカフェです。
「無いならつくろう」という精神で、お客さんは資材を持ち込んで自分がつくりたいものをつくり、スタッフはそのサポートをしてくれます。
私のパフェでも、グラスの口径にぴったりのサイズのメレンゲをつくるために、レーザーカッターでアクリルの型をつくったりしています。
この場所を活用してつくっているパフェということで、『Fabパフェ』と名付けています。

――個人店ではなかなかできないことですね!
『Fabパフェ』は常設ではなく、期間限定で提供されているということですが、毎回どのぐらいの数をつくっているのですか?

小関 1作品につき8日間提供するのですが、最近は毎回だいたい800人ぐらいの方がいらしてくださいます。
以前は事前予約販売分と当日販売分に分け、当日いらしたお客さんには並んでいただいていましたが、コロナの影響もあり、すべて事前予約販売に切り替えました。
有難いことにお客さんもどんどん増えて、毎回数分でチケットは完売しています。

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――まるで人気アーティストのライブのチケットですね!

小関 この活動の目的は、『Fabパフェ』がお客さんの生活の一部や楽しみになることです。
まさに好きなアーティストのライブを心待ちにしたり、好きな画家の絵が来日する度に美術館に足を運ぶように、このパフェを食べに来てもらいたいですね。
実際に初回からずっと通ってくださる方や、リピートしてくださる方もいて、有難いです。

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写真と製菓、表現方法として選んだのは?

――小関さんはどういう経緯で現在のご活動に至ったのですか?

小関 パティシエとしての活動の始まりは、20歳の時にパティシエの辻口博啓さんのお店に入ったことです。
でもその前は写真の専門学校を通っていて写真をやりたかったこともあり、お店は数年間で辞めてアマナに就職しました。
アマナでは世界最大級のプラチナプリント工房を持っている『アマナサルト』にいたのですが、世界中の有名な写真家の方の作品に触れることで、自分のインスピレーションも高まりました。
自分自身の作品づくりもしていて、写真展も2、3回はやりました。

――ものづくりが好きなんですね。

小関 でも自分の写真の表現には限界を感じるようになったんです。
アマナ時代もお菓子づくりは好きで続けていたのですが、自分の表現手段としては製菓が合っているのではないかと考えたんです。

――そこからパフェに絞った理由は?

小関 元々は人の紹介で『FabCafe Tokyo』にデイリーの焼き菓子を提供していたのですが、続けていくうちに自分じゃなくてもつくれるのではないかと思い始め、段々面白味が感じられなくなっていったんです。
自分じゃなきゃできないものは何か考えた時にパフェに辿り着きました。

――ケーキにしなかった理由は?

小関 ケーキだと食べるタイミングがお客様任せになってしまうんです。
買って帰って、食べるのが翌日になってしまうこともあると思うんですよね。
でもパフェならアイスクリームを使うことでその場でしか食べられないし、パーツをグラスの中に積み重ねているので食べる順番もつくり手がある程度コントロールできるんです。
それが他のお菓子とは違うところで、より明確にこう食べてほしいという想いや意図が嫌味なく伝えられることがグラスデザートのいいところですね。

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小関さん流パフェのつくり方

――小関さんは毎回どのようにパフェのレシピを決めているのでしょう?

小関 それぞれのパフェに食べさせたい組み合わせや温度など課題があって、そうすると自ずとレシピが決まります。
また食材から決まるものもあり、たとえば23作品目のパフェでは横浜にある坂田農園さんという梨農園の梨を使っているのですが、和梨なのにラフランスっぽい食感があって、市場には出回っていないけれど使ってみませんかというお話をいただいたことをきっかけにできたパフェです。
主題をどう活かすか、よりハーモニーが広がっていくためにどうするか、あとは食感や、重さと軽さの組み合わせやバランスを考えて、レシピを決めています。

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――すべてのレシピに意味があるんですね。

小関 テーマは食材だけではなく感情的なものもあって、たとえば21作品目の『zéphyr』は寂しさから生まれたパフェなんです。
『zéphyr』とは、“そよ風”という意味です。
コロナで緊急事態宣言が出た時、春なのに人に会えなくて、スーパーに買い物に行った時に春の風が吹いてすごい寂しくなって、そういう感情をほろ苦さで表現したり、パフェに投影しています。

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――奥深い……。
毎回通い続けるファンの気持ちが分かります!

小関 パフェの背景については私から発信してしまうとイメージが固定されてしまうので、あまりしないのですが、みなさんタイトルや食材から紐解こうとします。
通い続けてくださっている方はけっこう深読みされる方も多くて、SNSに投稿してくださる感想もまるでポエムのようなんです!
それだけに新作発表の初日は公開処刑です(笑)。
がっかりされるかもしれないという不安はいつもありますね。

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――パフェの写真の撮影も小関さんが行っているんですか?

小関 そうです。
私が撮影したものをデザイナーのの相樂園香さんにお渡ししてポスターを作っていただいています。
私自身も毎回楽しみで、ポスターが出来上がる度に自宅の壁にも貼って眺めているのですが、今年初めての試みでそれを集めてカレンダーを作ったんです。
その発売がコロナの時期に重なったのですが、「今は食べに行けないけど、これを見てがんばります!」とかメッセージをいただいたりして、私のパフェが誰かの人生の楽しみになっていることが分かって嬉しかったですね。
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あの日あの時食べたパフェが形を変えて新たな作品に!

――『Fabパフェ』は100作まで続けられるということですが、その他にやってみたいことはありますか?

小関 今まで撮ってきたパフェの写真で写真展をやってみたいですね。
パフェには食べる人を一瞬で満たしたり、心に焼き付けるものがあると思うんです。
だからパフェを食べた人はその写真を見ると、その時の記憶や体験を思い出します。
それは香りだったり、誰かと一緒に来ていれば会話だったり、一人で来ていればその時の自分の状況だったり。
だからパフェを食べた人にとっては特別な写真展になりますし、食べたことがない人にとっては食べてみたいと思うのかなと。
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パフェをつくる過程の写真も撮っているので、それを見るとまた新たな発見もあって楽しんでもらえると思います。
目標は、50作ぐらい発表したところで写真展ができたら壮観かなと!

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人生の思い出の1ページを飾る小関さんのパフェ。
写真展が開催される前に、まずはぜひ味わってみてください!

FabCafe Tokyo
東京都渋谷区道玄坂1丁目22−7 道玄坂ピア 1F

著者プロフィール

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シズル撮影専門のクリエイターチーム・ヒュー
ヒューは食の撮影に特化したフォトグラファーが多数在籍しています。スチール撮影からパッケージ撮影、動画などシズル感のある表現で「おいしい」が伝わるビジュアルをご提案していきます。
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