今こそ釣りで地域を応援! 『ツッテ』編集長・中川めぐみさんインタビュー編

今こそ釣りで地域を応援! 『ツッテ』編集長・中川めぐみさんインタビュー編

釣りで地域を元気にしている女性がいるらしい。
噂を聞いて今回取材をお願いしたのが、一般社団法人ウオー代表の中川めぐみさんです。

2018年、釣ってはじまる様々な特別体験の情報を届けるメディア『ツッテ』を立ち上げ、釣りや漁業を通して日本全国の食、景観、人、文化など地域の魅力を発見・発信することを目指しています。
釣りを通してどんな特別な体験ができるのか?
中川さんへのインタビューと、この取り組みを実際に体験したレポートを前後編にわたってお届けします。
前編では、中川さんが釣りを始めたきっかけから釣りの魅力、地域や漁業が抱える問題についてお話をうかがいました。


仕事をきっかけに始めた釣りが仕事に! 

――まずは現在のご活動について教えてください。

中川めぐみさん(以下敬称略) 『ツッテ』編集長として、普段は釣りをしない女性や家族、ビギナーに向けて、手軽に楽しく「釣り自体の楽しさ」+「釣りを通してこそ味わえる地域の魅力」を体験できるプランを企画・発掘するため、全国を飛び回っています。

――漁師以外で釣りをお仕事にされている方は初めてです!
中川さんが釣りと出会ったきっかけが気になります。

中川 前職ではGREEや電通で新規事業の立ち上げや、ビズリーチで広報の仕事をしてきました。
私がGREEにいた当時は釣りのゲームがヒットした時で、釣りに関する企画として釣りの予約サイトなどリアルにつながるものを提案したんです。
とはいえ私自身が釣りをやったことがなかったので、市場調査として釣り船に乗ることにしました。
初めての経験でしたが、竿など道具も借りられるし、いろいろ親切に教えてもらえて簡単に釣ることができ、気軽で楽しいなと思って!

釣りは独特のアクティビティなんです。
今の時代、私たちが生き物の命に直接関われることは、釣りや狩猟ぐらいしかありません。
狩猟は誰でもできるわけではありませんが、釣りなら小学生でもできるし、それでいて人間の狩猟本能を呼び起こすところもあります。

GREEの後は電通の雑誌局に入ったのですが、たまたま釣り雑誌の担当になったんです。
その時にはもうすっかり釣りにハマっていて、当時の編集長から「釣り好きならモデルをやって」と頼まれて。
ギャラはないけれど、交通費から宿代まで出してもらってプロと一緒に釣りができる願ってもないチャンス!
日本各地でいろんな経験をさせてもらいましたね。
たとえば、タラは刺身で食べるのが一番おいしいとか。
タラって寄生虫もいるから生ではなかなか食べないと聞いていたのに、茨城に釣りに行った時に漁師さんたちから、「ここのは大丈夫だから食べてみろ!」と言われて。
ポン酢で食べたら本当に絶品でした。
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釣りの先にある、ヒト・モノ・コトとの出会い

――やはり食体験は多くの人の心を惹きつけますよね!

中川 でも釣りは食だけではないんです。
私は地域に行った時に釣りをすることを勧めています。
その理由は、ただの旅行だと一方的なサービスしか受けられない。
モノ体験が中心だし、観光施設やホテルのサービスマンとのやり取りしかない。
でも釣り船に乗ってみると地元の人たちもいて、数時間一緒にいると自然にいろんな話をするようになるんですよね。
そうすると、「今の時期はここがおもしろいよ」とか「あそこはガイドブックには載っているけれどおいしくないよ」とか、生の情報を教えてくれて。
帰る頃には、「〇〇月になったらこんなことがあるからまたおいでよ!」なんて言ってくれるので、ついリピートしたくなっちゃうんですよね。
釣りはそういう交流の良い切り口になるので、旅先での釣りを勧めています。

――そういう体験をしたら、また行きたいと思いますね!

中川 釣りはそれ自体がとても魅力的なのですが、釣りを通して各地域のいろんな魅力を知ることもできます。
だから私が運営している『ツッテ』というサイトの中では、“食べる”“誰かに出会う”“学ぶ”といった、釣った後に何をするのかというところまで提案しています。
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【ツッテHP】

基本的な提案としては、釣った魚を地域のお店で食べられるところまでワンセット。
手ぶらで行って、釣った魚もお腹におさめて、手ぶらで帰れます。
でも釣りは自然相手なので、釣れないこともあれば、釣れ過ぎることもあるんですよね。
そこで2018年、熱海で立ち上げた企画が『ツッテ熱海』です。
釣れる時ってやっぱり釣りたくなるじゃないですか。
そういう時にせっかく地域の資源をとらせてもらったのだから地域に返す方が良いと考え、釣ったけど食べきれなかった魚を魚市場に持っていくと、地域クーポンで買い取ってもらえるという仕組みを提案しました。
そのクーポンを使って、帰りにお饅頭を食べたり、温泉に入ったり、家族にお土産を買うこともできます。

――そういう体験をすれば、釣りに行く場所としてだけではなく、その地域全体のファンになりますね!

中川 実は釣り人って地元の方や漁業関係者となかなか良い関係を結びにくいんです。
なぜかと言うと、釣り目的で来る人はお弁当も持参して本当に釣りだけして帰るパターンが多いんです。
地元にお金も落とさないのにゴミだけ落として帰ったり、漁業現場の近くにゴミや釣り具を放置して、針を網に引っ掛けてダメにしたり。
そこを釣りだけじゃなくて、ちゃんと地域にお金を落とす仕組みをつくって変えていきたい。
そしてさらに、漁業関係者の魅力や課題も知ってもらう良い機会にしていきたいです。


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釣って楽しい、食べておいしい! 魚のシズルはどこにある?

――日々魚を目で見て触って食べている中川さんにうかがいます。
魚のシズルと聞いて思い浮かべるものは何ですか?

中川 アジフライのシズル感ですね。
みなさんが思い浮かべるアジフライは、定食屋で出てくるちょっと固めの揚げ物をイメージしませんか?
でも釣りたてのアジは身が生きているし、水分を含んでいるので、揚げると身がぼわ~んと膨らむんです!
みなさんをアジ釣りに連れて行くと、刺身はもちろん、フライにした方が見た目も味も感動しますね。
だから、今まで釣りをやったことがない人に興味を持ってもらう口説き文句も、「人生最高のアジフライ食べたくない?」です。
これはもう勝率100%ですね!

――それはおいしそう!
釣りの現場で感じるシズルはありますか?

中川 たくさんあるのですが、たとえば東京湾で釣れる「黄金アジ」です。
スーパーで並んでるアジは青とか黒っぽいものが多いですよね。
その理由は、アジは回遊魚なので鳥に狙われないように魚体を海の色に同化させています。
でもこの黄金アジは「根付きのアジ」とも呼ばれていて、岩礁の隙間にいる餌をついばんでいるためあまり回遊しません。
そのため魚体も土の色に同化して茶色っぽいのですが、日の光に当たると金色に輝くんです!
おいしい餌をいっぱい食べるのにあまり動かないので、脂がすごく乗っているんですよ。

熱海から日本全国へ、魅力発掘の旅は続く

――中川さんの今後の展望について教えてください。


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中川 私の中で釣りは、いろんな地域の魅力をあぶり出す切り口です。
大事なのは釣ることではなく、その先にあるものです。
熱海の場合は、温泉街が観光コンテンツとして確立されていたので、それを楽しめるよう地域クーポンでの魚買い取りを提案しましたが、それは地域によって異なります。
今後は各地域でそれぞれの釣りを切り口とした観光コンテンツをあぶり出していきたいです。
自治体は予算をかけて何か新しいものをつくろうとする傾向があります。
でも本当はわざわざつくらなくても、各地域でもう既に持っているんです!
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その土地に住む人にとっては当たり前すぎて気付かない魅力はたくさんあります。
次回は今年9月にスタートした企画『ツッテ西伊豆』の体験レポートをご紹介します。
どうぞお楽しみに!

著者プロフィール

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シズル撮影専門のクリエイターチーム・ヒュー
ヒューは食の撮影に特化したフォトグラファーが多数在籍しています。スチール撮影からパッケージ撮影、動画などシズル感のある表現で「おいしい」が伝わるビジュアルをご提案していきます。
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